川北英隆のブログ

コロナちゃんに誘われて

夢を見た。会社に意見具申したものの、その多くを骨抜きにされたこともあり、生き方を変えようと飲み屋で仲間と相談し、帰路についた。ターミナル駅で降り、家まで歩こうとした。駅の外は俄か雨だった。用心のため持っていた傘を開いた瞬間、女性に声を掛けられた。
ターミナル駅の外にコンビニが付設されていて、その軒下に女性が二人雨宿りしているのは知っていた。声を掛けてきたのは、そのうちの一人だった。
その二人は日本人かなと思っていたのに、英語で「そこまで傘に入れてほしい」とのこと、中国人のようだった。
一瞬その意図が分からず、ためらったが、数秒後に「いいよ」と答えていた。女性は傘に飛び込んできた。雨の中に一歩踏み出したところ、女性は傘を持っている僕の腕を手繰り寄せるようにし、しがみついてきた。手繰り寄せたいのは傘のようだったが。
「どこまで行くの」と手順前後に気づきつつ質問すると、「そのホテルまで」と100歩程先にあるホテル名を言った。高級ホテルである。その手前に大きなビルがあり、そこにはホテルまでの庇付きの通路がある。
その通路まで女性を送り、別れた。一緒に歩いたのは20歩程度だった。後ろ姿を少し追うと、40代だろうか、身なりのこざっぱりした女性だった。
ここでふと思ったのは、中国人ということはコロナちゃんの化身だったのかもと。「ついでだからホテルまで送っていくよ」と提案すれば、罠にはまったのかもしれない。
着ていた山用のフリースの腕の部分を見つめた。女性に掴まれたものの、変質していないので安心できる。ここで目覚めた。
見知らぬ女性にいきなり腕を掴まれた経験は大学生の時にある。
木屋町と河原町の間の路地には安い飲み屋といかがわしい店が混ざり合っている。実は高級店もぽつぽつとあるのだが。山の同好会の暑気払いがその界隈の安い飲み屋であった。
お開きになり、ふらふら下宿へと路地を歩き始めた瞬間、向かいから歩いてきた女性にいきなり腕を掴まれた。夏だから着ていたのは半袖シャツ、掴まれたのが(確か)肘付近だったものだから、女の掌のじとっとした冷たさが直接伝わってきた。路地裏に出没する幽霊かなと思うほどだった。
夜は怖い。濡れたものはより怖い。それにコロナちゃんが加わるとなおさらだ。

2020/01/30


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