川北英隆のブログ

クルーズ船日本丸に乗って

横浜に停泊したクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号だったか、そこに高校の同級生が乗り合わせ、「厚労省の不手際の連続から、えらい目に遭った」そうな。今、それと同じ憂き目に日本国民が晒されている。クルーズ船日本丸かも。
10万円とアベノマスクはクルーズ船の騒ぎをひとまず収めるための、乗船者向け撒き餌である。でも、本当に対応が必要な乗船者も多い。それらの者に対して何ができているのだろうか。
厚労省によると、日本のPCR検査能力、1日最大1.3万件らしい。しかし厚労省の統計によると、4/21現在の累計検査数は10.7万件である。4/11が6.3万件だった。つまり、この10日間で4.4万件の増加、1日当たり4400件程度検査した計算になる。何が障害になっているのか、外からはわからない。
厚労省はPCR検査能力を1日2万件まで増やしたいとしているものの、いつ実現するとも、機能するとも分からない(NHKネット版)そんな目標達成を待ってられない。ニュースを見ると、民間主導で(乗船者がしびれを切らし)検査の試みが展開されているそうな。
というのも、人口の多い東京では、検査が必要と判断されても4、5日待つことがあるとか。これでは重体化し、死が歩み寄る。その東京、検査による陽性率が39.4%に上昇している。大阪が22.8%である。検査の行列に並ぶ者は、相当の割合で陽性なわけだ。天気予報で降水確率が40%なら傘持参での出勤が正しい。それと同じである。
これだけ陽性率が高くなると、「何でもかんでも検査するのは問題だ」という当初の専門家の発言は、コロナにスキを突かれたための言い逃れ発言だった、そうとしか思えない状態に陥っている。ステージが上がった段階用に次の手段を持っていたのならともかく、ほぼ何もなかったに等しいのが現状だから。
病院は、少数のアホ医者(それとタマゴ)がいたとはいえ、決死の覚悟で戦っている。検査が十分ではないから、いわば地雷の在処がわからないまま戦場に送り込まれたようなものだ。それに加え、防護服も医療用マスクも不足している。当然、弾薬に相当する治療薬も手探りの状態であり、完備していない。
第二次世界大戦でのインパール作戦みたいなものか。食料さえ不十分な状態で、豊かな英軍と戦った。負けるに決まっていた。敗退してビルマ(ミャンマー)に逃げる途中、大量の死者が出た。この時、国内では依然として大本営発表、今で言うフェイクニュースの官製版が流されていた。この比喩は友人からのメールに半分書き足したものである。つまり、僕の思いつきではない。
今の政府をフェイクニュースの製造元と言うつもりは毛頭ない。でも、前にも書いたように(4/13)、正確な情報を、見やすい形式で流してもらいたいとは思っている。上で指摘した陽性率のデータも探すのに少し手間取った。ブログにメモしたサイトが変わっていたから。
PCR検査は、抗体検査も含め、敵の強さと位置を知る上で必須である。その上で、国民に対し、自粛要請はもちろんのこと、3密状態になる不要な活動を強制的に停止するか、改善させるべきである。今の政府の対策を見るにつけ、業者に対する遠慮が強過ぎる。
その割には休業対策ができていない。政府はただ、「自粛」、「接触の8割減」発言を繰り返すだけであり、これらの要請に応えようとする業者や乗船者に何を支援できるのか言えていない。これもまた、第二次世界大戦末期において、国民に我慢と竹槍本土決戦を繰り返し訴え続けただけの当時の政府に似ている。
今からでもいい、フェイクではない真の専門家を集め、後手から逃れ、少しでも先手を打てるようなコロナ対策を早急に練るべきである。そうでないと、全般的に大人しい日本丸の乗船者からでさえ反旗を翻す一団が登場すると思えてならない。
立派なリーダーとは、過ちがあったとすれば、それを素直に認め、行動を是正する者である。神様じゃあるまいし、過ちのない者なんて皆無である。

2020/04/23


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