川北英隆のブログ

没個性が褒められる時代か

いきなり食べ物の話から入る。数日前、コロナ封じで一躍有名になった岩手県から山菜が届いた。それを食べて思ったのは、個性がないと食べ物も美味くないとのこと。自己主張をしないとダメである。
届いたのは、ボウナ(って初めて食べる)、シドケ(モミジガサのこと、山登りの途中で出会った思い出がある)、コゴミ(これも場所は忘れたが、信州だったか、山登りでたくさん出会った)、行者ニンニク(送ってきたのは栽培らしいが、天然のものはカムチャツカ半島で歩きながら見つけては食べた)、タラの芽(東京駅のはどうなったかな)である。
それらを、まずは定番とされる天ぷらにして食べた。ちなみにその天ぷら、僕がするわけでない。カミさんが嫌々してくれる。
でもいつも思う。手間がかかるわりに、山菜の天ぷらは今一つである。
なお、行者ニンニクだけは醤油漬けにした。30年くらい前、北海道での雨の日、山小屋で天気待ちをしていると、小屋の番人が行者ニンニクの醤油漬けを出してくれた。誰かが朝からビールを注文したからかな。その順番は覚えていない。覚えているのは、つまみに最高だったことである(結局、朝からビールを飲んだんかいな)。
天ぷらに戻ると、どれもれも同じ味しかしない、そう言ってもいいくらい没個性になる。フキノトウのようにアクが強ければ別だが、普通の山菜は「油をしがんでいる」のに近い。
そこで、残った分をお浸しにして食べた。これなら少し個性が出てくる。
以前からタラの芽で思っていたのだが(時々山歩きしたついでに見つけて家で食べるのだが)、山菜、天ぷらは避けたほうがい。天ぷらが定番になった理由は不明なものの、山菜のアクを嫌ったのか。ワラビ以外、アクなんてたいしてないと思うのだが。
焼酎もそうだが、没個性が尊ばれるのかもしれない。そういえばテレビに出てくる若い男や女、誰が誰だか、同じような顔と髪型なので区別がしにくい。そもそも、男か女かも区別が難しくなっている。芸能人にそんなに興味がないし、加えて歳のせいかとも思うのだが、それでも個性のあるのは何人か覚えている。
食べ物、飲み物、そして芸能人、もっと個性を出さないと覚えてもらえないし、たちまち忘れ去られてしまう。個性を出すと、すぐにそれを批判する世の中の風潮も問題なのだが。と、変な方向に話題が逸れてしまった。

2020/05/21


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