川北英隆のブログ

安房のジャングルに分け入る

今週の山として選んだのは房総半島の町、館山の約8キロ西にある大山(193.3m)である。「何でそんな低山を」といえば、一等三角点があるから。それに東京に出掛けたついでに登れ、登ったその日に京都に戻れるから。
とはいえ房総半島の南端の館山までは遠い。東京駅5.21発(初電)の総武線・内房線経由君津行きに乗り、木更津駅で内房線安房鴨川行きに乗り換えた。君津駅ではなく木更津駅で乗り換えるのは、始発駅で乗り換えるようにとの時刻表検索ソフトの配慮である。
そんな早起きをしたのに館山駅に着いたのは8時だった。館山駅の手前から高校生が乗って来て少しだけ混むが(高校生が立つようになるが)、それまでは空いている。
館山駅の東口からバスがある。8.20発の国民休暇村行きに乗る。実はこのバス、東京八重洲南口から高速バスとして出ている。調べると6.30発だそうだ。内房線は君津から単線になり、対向列車の待ち合わせが長い。その分と乗り換えの分だけバスが早いようだ。次回からは(まだ歩く山があるのかいな)高速バスも念頭に置きたい。
バスの終点、国民休暇村から大山登山口の村である坂田(ばんだ)まで歩く。実は館山駅発8.40のバスもあったのだが、20分待つのなら歩いたほうが早いと考えた次第。実際のところは5分も違わなかった。何とか面目を保てた程度である。
坂田のバス停の少し先で小さな橋を渡る。その橋の西の袂に、南側の人家に向かって伸びる車道がある。標識はないが登山口である。車1台やっと通れる道を登っていくとふいに突き当りになる。「どこかに分岐があったのか」と思って見渡すと、突き当りの壁というか側壁に「大山コース」の表示があり、左手を差している。
灌木の中に道がある。すぐに竹藪の覆う細い道になる。屈んで歩くのだが、下が最近の雨で泥濘るんでいて大変である。屈んで歩く場所は短く、すぐに細い竹藪の中の登りになるが、地面の滑りやすい状態が続く。ストックを持参していなかったので、枯れた竹(ちょどいい太さだった)を1本拾い、山頂まで使うことにした。
ようやく稜線に達し、常緑広葉樹林に入り、「ここからは普通に歩けるやろ」と思ったのは大間違いだった。道というか踏み跡には倒木が多く、しかも両脇には(時々真ん中にも)刺のある灌木が突っ立っている。加えてウルシ類も多い。しかも雨粒がほんの少し落ちてきた。
登るにつれ、倒木と灌木と下草が多くなる。ヘビ(見かけなかったが)を踏まないようにと気をつけながら踏み跡を探し、トゲとウルシを除けて歩いた。もちろん、同じルートを下る時ようにと普通の灌木の枝を折りつつ。
頂上の手前で、右手下から上ってくる車道が見えた。帰りはそれを下れるのではないかと期待していると、頂上の手前でその車道の横を歩くようになった。と、踏み跡も不確かになる。仕方ないので車道に出て、大山の山頂と思しき場所に達した。
三角点を探すのに少し時間を要した。というのも、三角点はのびのび育った草の中にあったので。杖代わりの竹で探り、ようやく発見した。数カ月間、誰も登ってない様相だった。ここまで、登山口から1時間を要した。予想外である。
下り、同じ道を引き返す気力がゼロだった。車道を下った。「私有地につき関係者以外立ち入り禁止」の表示を無視して。この下りは次回に。
結論は、「夏草の茂る季節に登る山ではない」。
写真は最初の竹藪の中の道と、その後の稜線の道である。後者は「非常に状態のいい箇所」である。
20210715大山の登り口.jpg

20210715大山の稜線.jpg

2021/07/15


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