川北英隆のブログ

政府のコロナ対策進化せず

コロナ感染が爆発的に増加している。感染力の高いデルタ型(インド型)によるものだ。これに対して政府は不要不急の外出自粛を訴え続けている。第5波だから4回目のデジャブの声、「自粛して」が聞こえるわけだ。
日本の新規感染者数1.5万人は世界的に見ても多い部類に入ってきた。現在、アジアでの感染が深刻だが、そのアジア域内の新規感染者数と比べると、日本はインド、インドネシア、タイ、マレーシアよりはましなものの、フィリピン、ベトナム、バングラデシュと同程度、パキスタンよりも多い。
「これらの国々の医療制度は遅れているから、実際にはもっと新規感染者がいるはずだから、日本はまだましでは」と主張したところで、日本はPCR検査を絞っていることから、「医療制度が遅れている」という意味では同じ穴のムジナである。
日本の場合、(僕もそうだが)老人枠でのワクチン接種が進んだため、今は40代以下の若い世代の新規感染者率が高まっている。政府として本来やるべきことは、「ワクチンの副反応よりも、ワクチン接種をしないことによる感染と死亡のリスクが格段に大きい」、だから「ワクチン接種を積極的にすべき」とのアナウンスである。ワクチン接種が「命を守る」と、政府の好きな言葉を徹底的な流すことだ。
でも、そんなことをしたら「どこにワクチンがあるねん」と痛烈なカウンターを食らってしまう。このため、「自粛」という陳腐化したアナウンスしかできない。とはいえ、「ワクチンを入手しようと努力している、だからもう少し辛抱を」程度は言えるだろうに。「自粛、自粛」と叫ぶのは、無能とは言わないまでも、ワクチンに関して能力不足だったことを隠すためでもある。そう勘ぐってしまう。
関連したことを書くと、感染者が爆発的に増え、病床不足に陥っている(陥る可能性が高い)ため、これからは自宅療養を中心に据えるらしい。この方針に対して、「コロナ勃発からの1年半以上、何をしてきたのや」である。そこまで言わないまでも、死亡リスクのある病人を自宅に置くのは、日本の医療制度の後進性を世界に晒すことになる。しかも自宅療養は家庭内感染リスクが高いから、ますます酷い対応である。皮肉っぽく言えば、家族には外出してもらうのが本筋である。
本来は政府として謝罪すべきだろう。「この自宅療養しか残されていない」、「申し訳ない」との謝罪である。というのも、病状の深刻さが低い場合の対応策として「ホテルや仮設病床の確保」、「オンライン診察の推進」などの組み合わせについて、どう事前準備してきたのか、最優先で推進してきたのかと問われたとして、政府は何も答えられないに等しいから。厚労省を筆頭に、政府の危機管理能力のなさ、発想力の乏しさ、実行力や指導力の欠如が誰の目にも明らかになってしまった。
友人がメールで曰く、「日本はPCR検査を絞ってるさかい、(PCR検査の)陽性率からすると無症状感染者がごまんといますやろ。都心部では毎日1000人に1人が感染してる感じなんとちゃいまっか。これを日常生活で日々繰り返すとなると、ロシアンルーレット以上のリスクやね。今度は(前の敗戦時と違うて)進駐軍が来て後始末してくれへんさかい、政府はできないできないと言うてんとしっかり自分で収束させる道筋を考えな、いずれ国民が暴れ出しまっせ」と。

2021/08/10


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