川北英隆のブログ

病院も国も事務処理改革を

人間としての年季を重ねてくると、病院との付き合いや、関連情報が多くなる。友人と話していても、彼らからの情報も(残念ながら「彼女ら」はない)、病院の話題が多くなる。
その情報の中で「何やこれ」と思うのは入院の手続きである。友人は群馬で経験したらしいのだが、京都も同じである。
何のことかといえば、入院にかかった費用の支払いに関する連帯保証である。入院患者と同居していない者を立てるように求められる。このデジタルの時代に押印も必要である。
考えただけでわかるだろうが、これが一苦労である。老人になれば両親はあの世へ消えている。兄弟姉妹が少ないから、仲が悪ければどうするのか。そうでなくても遠方に住んでいたら、押印だけで大変である。一人っ子で子供がいなければ絶望的かもしれない。
でもとりあえずの心配には及ばない。その書類を手渡す看護師は心得たもので、「退院時でもいいので」と言う。「そしたら要求せんといて」と思う。要するに病院の管理責任者が医療費の不良債権を減らすために考え出した手だろう。その偉いさんの指示に従わないと看護師に罰点が1つ付くのかも。
これは友人の体験なのだが、独り者が救急車で搬送されたらとんでもないことが生じるらしい。救急車が運んだ病院は、応急処置はするものの、入院はさせないとか。
彼の母親が比較的高級な老人介護施設で転んだらしい。母親はそこの施設長の付き添いで大病院(某地方の国立大学医学部の附属病院)に運ばれたのに、友人が駆けつけるまで救命救急の簡易ベッドに寝かされたままだったとか。その間3時間だったらしい。施設長では駄目、つまり「婆さん、お金はあるで」とは言ってはくれるものの、いざという場合に入院費を支払ってくれない。友人の例では、彼の保証がないと入院できなかったそうだ。
今は病院でもクレジットカードが使える。そうなら、ホテルに泊まるときのように、白紙の(支払金額を書かない)カードの支払い書を病院に手渡しておけばいいではないか。患者側としても、金額の記載のない支払い書を渡したとしても、大病院なら心配は少ない。クレジットカードのない老人の場合は政府として保証人制度を作れないものか。入院手続きの簡素化こそ本当の福祉制度だと思うのだが。
友人の場合は続きがあって、母親を入院させた後、彼以外の連帯保証人も求められたらしい。友人は入院時のこともあったので、窓口で散々文句を言ったそうだ。それでも相手が「連帯保証を」と連呼するものだから、信用力を示すため(堅気の勤め人だとの証拠のため)名刺を出したとか。名刺が葵の御紋の印籠に相当したのかどうかはともかく、相手が引き下がったらしい。事務方としては「連帯保証を求めやした、親分、でもね」と言い訳する証拠が必要なのだろう。
いずれにしても名刺なんて偽造が簡単である。信用力の点で、クレジットカードの金額を書かない支払い書の方に圧倒的な分がある。
その友人、ついでにマイナンバーカードに文句も言ってた。マイナポータルに接続ができなくなったとか。原因はマイナポータルがバージョンアップしたことにあるらしい。そのバージョンアップの説明がなくて、「使うのやったらもう一度インストールせえ」とか。
バージョンアップとは、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにするための作業なのか。僕はマイナンバーカードを作ってないので(政府がまいたコマセにも食いつかず)、よく知らないが。
友人の言うとおりだとしたら、マイナンバーカードのシステム、ヘボの極みである。
アプリをバージョンアップした場合、インストールした側に通知するのが普通だろう。できれば自動的にバージョンアップしてくれるようにしてほしい。
ましてや今回はマイナンバーカードを扱う重要なアプリである。それをほったらかしにするのは、やはり政府が殿様商売しかしてこなかった証でしかない。デジタル後進国だと思ってしまう。
病院も政府も、旧態依然としている。何とかしてほしいものだ。

2021/10/21


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