川北英隆のブログ

日本は天然資源の豊かな国

先日、「家族信託ガイド」(第23号)という雑誌に依頼され、「地方再生手段としての信託」という巻頭言を書いた。
家族信託とは、「委託者が保有する財産を受託者に託し、受託者が受益者のために財産の管理・処分を行う制度」である。老人が若い親族に自分の財産管理や処分を託し、託された親族は、その老人のための生活費を捻出したり、死亡時には財産の相続手続きを行ったりできる。一般には「民事信託」と呼ばれる制度である。
それはともかく(家族信託から離れ)、依頼されたからには「信託」を用いて何か書けないかと思い、「そうや、地方再生や」と感じた。どういう思考回路で信託と地方再生を結びつけたのかは忘れてしまったものの、結果として「地方再生手段としての信託」になったのだけは確かである。
原稿の出発点がどこにあったのかと言えば、「日本の地方といえば自然だろう、森林だろう」と感じたことにある。思い出したが、日頃思っている地方のことを是非書きたいというのが思考回路にスイッチを入れたように思う。そして、森林と言えば、「これこそ日本の最大の資源やな」と、ずっと思っていたことに火が付いた。
原稿(書き慣れない「です」「ます」調で書くようにとの依頼)には、「日本の国土の特徴を整理しておきます。その特徴とは、緑と、その緑を支える水が豊かなことです」と書き、少し展開して「海外旅行で異国の土地に踏み込むと、その国の緑の少なさとの対比で、豊かな日本の緑がすぐ目に浮かびます。日本よりも緑と水の豊かな国や地域もありますが、たとえばアマゾンやコンゴを旅行しても、筆者のこの日本に対する印象は大きくは変わりませんでした」とした。
これを裏付けるため(泥縄かいな)、世界国勢図会を調べてみた。すると凄いではないか。「森林面積の対国土面積比(2018年)」によると、日本は66.0%に達し、これを上回る国は7ヶ国しかなかった(実は、2019年の数値が取れるので確認したところ、日本を上回るのは8ヶ国になっていたのだが)。「アマゾンを抱えるブラジルも、コンゴ川の流れるコンゴ民主主義共和国も、日本よりも低い」のである。
ちなみに「森林面積の対国土面積比」(2019年)は、世界全体で30.2%である。地域別では南アメリカ47.7%、ヨーロッパ43.6%、北中アメリカ33.0%、オセアニア21.6%、アフリカ21.3%、アジア19.4%の順である。アジアが低いのは、中国22.6%、インド21.8%と低いことに加え、パキスタンやアフガニスタンが10%未満であり、さらに(石油はあるが)ほぼ砂漠しかない中東を含むためである。
日本に戻ると、森林が多いということは水が豊かなことでもある。森林は二酸化炭素を吸収してくれる。水資源は人口が増えると争奪戦になる(すでにアフリカやアジアで争いが始まっている)。こう考えると、日本は天然資源の豊かな国である。原稿では書かなかったが、日本を取り囲む海も広く、海底には鉱物資源も眠っている。
いよいよ日本の時代が来たのではないか。今まで重視されなかったも森、水といった天然資源を上手に活用すれば、もう一度「日本に日が昇る」のではないか。
それはともかく、「地方再生手段としての信託」については次回に続く。

2021/10/08


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