川北英隆のブログ

安全保障の忘却は亡国へ

今日の日経新聞の1面トップは辛辣だった。曰く、法も備えも穴だらけ、安全保障「最悪」を想定せずとある。要するに、もしも日本がウクライナのように隣国に攻められたら「イチコロではないか」と。そこまで直接的には書いていないが、多分そうである
日経の想定は、台湾がパンダの国に攻められることにある。その時、日本としてどうするのか。台湾を守ろうとするアメリカにどう協力するのか。日本に降ってくる火の粉をどう払うのか。
記事を少し要約しておくと、自衛隊、警察、自治体の役割分担が決められていないとある。アメリカ軍による民間空港の使用に成約がある。自衛隊は「日本がやられてから」しか動けない。シェルターとして使うには、日本の地下鉄は浅すぎ、その他の地下施設もきわめて少ないから、核での攻撃は当然として、ミサイル攻撃にも耐えられない。以上か。
政治家は、票にならない、むしろ票を減らしかねない有事の場合の議論を避けてきた。自衛隊を何やかやと屁理屈をつけて実質的な軍隊としたが、理屈の考えられていないことが多く、自衛隊が大して役に立たないかもしれない。その自衛隊自身、旧来の武器だけが前面に出てしまっている。難民化しかねない国民をどう守るのか、ネット上や宇宙からの情報戦争にどう臨むのかはほとんど議論できておらず、準備が貧弱である。
しかも日本は財政難に陥っている。新型コロナ対策で各国が非常時の財政政策を打ち出したため、日本の姿が一時的に隠されたが、コロナ感染とその経済への影響が落ち着いてきた現在(欧米の多くの国は新規感染者数が急速に減ってきている)、日本の悲惨な財政が再び浮かび上がってきた。
それなのに日本は物価対策だとして「その場しのぎのガソリン価格抑制」に兆円単位の資金投入と、「老人に5000円がだめなら、子供に5万円はどうや」と、目の前だけを見て行動している。ウクライナを教訓にして安全保障を考えようとは頭が回らないらしい。政治家にとってウクライナはしょせん票にならない対象なのだろうう。日本の隣りでヒグマも北の将軍様もパンダも美味いエサを狙って爛々と目を光らせているというのに。
以上に関連して小さな安全保障の不足を見つけた。知床観光船の遭難である。新聞によると、浸水の連絡が入ったのが13時15分頃、14時に連絡が途絶えた。海上保安庁(Japan Coast Guard)のヘリが現場付近に着いたのは16時30分頃とある。現場付近での救助活動に3時間少しかかったことになる。何故、そんな時間がかかるのか。海上保安庁のヘリが他の業務をしていたためという。ヘリが1機しかなかったのか。
この事故、観光船側に100%の責任があるものの、一方で海上保安庁の貧弱さが知れる。ヒグマの国が横の島から船で難民を装って上陸作戦を開始すれば、海上保安庁がガードに駆けつける前に北海道が乗っ取られてしまうのではと危惧する。
日本政府は、政治家は、自国が本当に安全なのかどうかを本気で議論し、手を打つべきである。財源として増税が主となるのかもしれないが、一部はバラマキを止めればいい。予算という資源の再配分計画である。超の付く難問かな。

2022/04/25


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