川北英隆のブログ

包装紙飾りの投資商品に注意

証券投資業界にあの手この手の商品が登場し、証券各社はそれに力を注いでいる。ロボットアドバイザーとかラップ口座とかである。知人が関与しているものもあるのだが、中身をよく見ないといけない。とくにラップ口座は問題が多いだろう。
ロボットアドバイザーは安い手数料でポートフォリオを組もうとの発想で始まった。発案し、日本で最初に企業化したのは知人Tである。その時の仕組みは簡単で、世界のETFを主要な投資対象とし、それに個人が投資するに際しての組み合わせをアドバイスすることから始まる。アドバイスするには個人の好みを知る必要があるので、個人は簡単な質問に答えることになる。
このような方法であれば、基本的に大きな問題はないだろう。僕自身は使っていないので、どのロボットアドバイザーがいいのかはよくわからない。手数料、売買させる頻度、投資パフォーマンスなどで良し悪しを判断すべきだろう。
もっとも検索してみると、「景気や市場の予測を元に資産配分を変化させ・・」というのがあった。このような謳い文句を前面に出されると、「そんな景気や市場の予測が当たるなんて、嘘に近いな」と思う。そのようなものがばっちり当たったら誰も苦労しないし、相場見通しにもとづいて売買させるのは「古い証券会社の手口」でもある。
この点でラップ口座は問題が大きい。ラップとはラッピングであり、要は包装紙に包むことだ。立派な証券会社の包装紙に投資対象証券という商品を包み、投資家に手渡ししてくれるということか。
言い換えればお任せファンドであり、証券会社が自身のノウハウを活かして証券投資を代行するとの方式である。その方式をもう少し述べれば、投資家はある程度の金額の資産を証券会社に渡し、手数料を支払い、好みにあった証券を選んでもらい、その証券をラッピングしてもらうことになる。
ロボットアドバイザーのロボットが証券会社の社員になったバージョンだとも言える。だから当然手数料が高い。また証券会社自身が別途、手数料の入る投資商品(ETFや投資信託)をラッピングする可能性もある。その投資商品が優れているかどうかは証券会社におまかせした投資家自身が確かめないといけないのだが、そのための情報がどの程度得られるのかは不明である。
しかも証券会社がラップ口座に組み入れた商品を、ポートフォリオのリバランス(組み換え)と称して売買するから、その売買に際しても別に手数料が発生する(差っ引かれる)。
加えて、リバランスが景気や市場の予測に基づいてなされれば、やはり「当たるはずもない」。僕の知るかぎり、証券会社の相場見通しは後付け講釈が多く、また「儲けたい、儲けます」以外の投資哲学に乏しいから、短期の見通しなのか長期なのかが不明瞭で、状況によって証券会社の都合によって使い分けられる可能性が高い。
もちろん、すべての相場見通しがそうだとは言わない。とはいえ、(上客ではない)少額のファンドに対するアドバイスはいい加減なスタッフが担当し、最悪になるケースが多いと思っていい。ついでに書けば、多額の資産を有している投資家の場合、ラップなんて中途半端なアドバイスを求めるはずもない。
ということでラップの場合、包装紙代、のし代が高く、それに包まれた中身は貧弱、包装紙を開けてみればネズミにかじられていることも十分にある。要注意である。

2022/11/09


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