川北英隆のブログ

株式を1株単位で売買したい

東証が株価の刻みを細かくするらしい。1円単位を10銭単位にするとか。全上場企業が対象かどうか知らないし、知ろうとも思わない。個人投資家にとっては馬鹿馬鹿しすぎる(馬さん、鹿さん、2回も登場させて御免ね)。それよりも1株単位で売買したいものだ。
アメリカ市場では1株で売買できるらしい(そう書いてある)。著名企業の場合、1株100ドル程度が多いので、1万円とか2万円である。20社に分散投資したいとしても、せいぜい50万円あれば可能だ。
つまりアメリカ株であれば、証券会社頼みではなく、自分で好きな企業を何社か選び、株式投資の楽しさを味わえる。個人投資家の目線が自然とアメリカ市場に向くのも頷ける。
日本政府は個人の資金を株式市場に向けさせようと躍起である。NISAやiDeCoなど、まさに「あの手この手」なのだが、肝心の手を無視している。それは買いに必要な資金量を普通の個人向けに低くする手である。
個人投資家にとっての最大のネックは、投資の王道としての分散投資のために大量の資金が必要なことである。調べると、今の日本企業の平均価格は1株2300円程度らしい。今は100株単位での売買が基本だから、1社当たり23万円が必要となる。自分の好みで分散投資をしようと20社程度を買ったとして460万円、「10社でもしゃあないかな」と思っても230万円が必要である。
これだけの資金を捻出した後に市場が下落すると、数十万円の損失が簡単に生じる。株式に向かい始めた普通の個人が「株式は怖い」と思い、「やっぱし預金やね」と元に戻りかねない。その点、1株で売買できるのであれば、1社2300円、20社で4.6万円である。これなら株価が下落したとしても、「しばらく待てばええかな」と辛抱できる。
でも、「1株単位で株式を買えるように」と言えば、上場企業が反対するのだろう。
過去、企業は個人投資家を嫌ってきた。株主総会の場が面倒になることと(1株株主運動というのがあった)、その招集通知や配当の支払いにコストがかかるからである。前者は本末転倒な議論であり、無視していい。後者に関してはデジタル的な処理が可能になっているし、さらにそれを推し進めればいい。
証券会社としては上場投信(ETF)が売れなくなるかもしれない。一方で個人の株式売買が活発になれば万歳三唱だろう。
取引所にはシステムの改良が求められる。一方で、株価が1000円未満になれば上場廃止とかの措置を取ると(最低限必要な上場株式数を高めに設定することを前提として)、有象無象の上場企業を排除できる。この上場維持のための最低限の株価という制度はアメリカ市場で設けられている。
以上は個人投資家の立場から考えるとすぐに浮かぶ政策のはずなのだが。自分で投資しないから、もしくは金持ちだから浮かばないのかな。
注:株価の刻みを細かくする対象はこれまでの100社から500社に拡大されるらしい。ざっと調べただけなので間違っているかもしれないが。

2023/01/18


トップへ戻る