川北英隆のブログ

お気張りやす市長はん

観光地としての京都の評判は高いが、京都市の評判は低い。市としてお金がないらしいのだが、市庁舎は大規模改装、建て替え中である。一方、市内の舗装道路はガタガタ、バスや電車も欠点だらけで、市民からは苦情が沸々と噴出している。
市庁舎の大規模工事は市長はんのメモリアル事業なのだろう。コロナ前、観光客が京都に殺到したことを受け、市の財政も潤った。それをいいことに一気に計画したに違いない。
民間企業では「本店ビルを豪奢にした会社は傾く」とのジンクスがある。好業績に浮かれ、身の丈を超えた出費をすれば、その後にツケが来るという戒めである。京都市として観光景気に浮かれる前に、脆弱な市財政の抜本的立て直しを図るべきだった。それを市長はんや職員に恩恵限定の豪華箱物投資に執着するとは。
京都市内を歩いて気づくのは、舗装道路がまるで地道のようにガタガタなことだ。道路工事の予算を倹約しているのだろう。歩くとガタガタにけつまづく。雨の日は水が溜まるので、車に泥水を掛けられないように注意しないといけない。
地下鉄や市バスの値上げが計画された。日本一高い公共交通運賃がますます高くなる。そのうちの地下鉄は国の支援によって見送られる。一方、市バスの値上げは予定どおりらしい。
その市バスは八坂神社や清水寺に近い東山通りが大混乱だと、先日軽く飲んだ東京のKさんが語っていた。前にも書いたように思うが、金閣寺の前を通るバスも大混乱である。
だから肝心の市民の乗降に時間がかかる。観光客がガラガラ引く巨大なスーツケースで通路が塞がるためだ。バスが進まないから、僕なんかは目的地のかなり手前で降りて歩いた。
その市バスだが、市は今まで「バス1日券」を安く発売していた。これを24年3月で廃止する方針に切り替えた。市民から苦情殺到だったらしい。観光客に媚びを売る前に、「もっとやることがあるやろ」と思う。
観光で潤うのは誰かというと、有名な寺社である。土産物、飲食、宿泊で儲かる門前の商店街もあるだろうが、寺社の祭りや行事に対する喜捨を要請される。だから有名寺社にますます潤いが集まる。とすれば「バス1日券」はその有名寺社のためのようなものである。他の市の観光事業も同じである。
市とすれば、この論理を逆転させればいい。「観光に力を入れ、アンさんらを潤すので、市に寄付してほしい」と、有名寺社に市が営業するのである。京都を愛する和服と伏見の酒の市長さんなら「できおすえ」。
その市長はん、地下鉄の吊り広告に登場しなくなっている。以前は和服を着た似顔絵で市政広告に登場していたのに、今は消えている。調子がいいときに登場し、調子が悪くなると姿をくらますのは不良企業に多い。むしろ不調のときに前面に立って指揮を執るのが真のトップである。
「頑張ったってや」「しっかりしたってや」との声が聞こえてくる。京都なら「お気張りやす」か。変な意味に取られるかもしれないが、不純なものを払うのも一興かな。

2023/02/05


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