川北英隆のブログ

コーラの栄枯盛衰

「コーラ大好き」で思い出したのは、株式市場から見たコーラである。個人で投資したことはなかったものの、サラリーマンになってすぐの頃、カルピスに投資したことがある。
現在、カルピスという企業は上場していない。アサヒに飲み込まれた。
子供の頃、カルピスは輝いていた。中元というとカルピスが大人気で、その瓶入りの濃縮液を薄めて飲んだものだ。しかも日曜日のカルピス劇場でアニメを提供していた。ムーミン、ハイジ、フランダースの犬(パトラッシュ)、ラスカルなどが登場した。
そんなこんなでカルピスに投資したわけだが、僕がサラリーマンになった頃にはカルピスの時代が終わりつつあった。飲食の多様化が進んでいた。「薄める」なんて手間暇をかけずに飲めるもの、代表的にはコーラに侵食されていた。僕自身、カルピスを飲まなくなったからだとは言わないが。
調べると、1975年当時(僕がサラリーマンになった翌年)、カルピスは売上を減らしていた。一方、日本でのコカ・コーラのボトリング会社でいち早く上場していた北海道コカ・コーラは売上を伸ばし、カルピスとの差を詰めていた。
コカ・コーラの組織は次のようなものである。アメリカにコカ・コーラ本体(Coca-Cola Company)があり、商標やコカ・コーラの原液を各国に販売している。それを買ったボトリング会社が原液を薄め、炭酸を加えて容器に詰めて販売している。日本には当初、ボトリング会社が17社あり(ウイキペディアによる)、担当地域を分けていたそうだ。ボトリング会社の設立は一種の特権だったようで、日本の大手企業や地元企業が出資していた。
カルピスとの比較で、当時のコカ・コーラボトリング会社は花形だった。僕はといえば、「やっぱり炭酸飲料、それもビールや」とカルピスを見切り売りし、清涼飲料水メーカーへの関心がほとんどなくなった。とはいえ少しの間、カルピスを隅に追いやったボトリング会社は気になっていた。
そのボトリング会社は今、どうしているのか。日本ではコーラもピークを越した。高齢化が進んだし、砂糖を含む飲料は健康に良くない。加えてペットボトル入りのお茶に負けた。
ボトリング会社は5社に統合されたのだが、最大規模のコカ・コーラボトラーズジャパンは赤字が続いている。上場を続けている北海道コカ・コーラボトリングは黒字を維持しているもののも時価総額は(調べたかぎり)この20年近く増加していない。
日本国内主体の飲料メーカー、食品メーカーが伸びるはずもなく、とくに販売地域が限定されているコーラのボトリング会社には厳しい。コーラに投資したいのならアメリカの御本尊に限定だろう。僕はあまり気乗りしないが、配当利回りが3%近くある。

2023/05/07


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