川北英隆のブログ

株式投資は実践あるのみ-3

サラリーマンが多い時代、それも給与が銀行振込の時代、子供が金銭感覚を身につけるにはどうすればいいのか。賛否が分かれるとは思うが、僕が前から唱えている「1株からの株式投資」の活用が効果的だろう。
今の上場企業の平均株価は2000円程度である。東京証券取引所では100株(1単元)単位でしか買えないから、20万円程度必要になる。もしもそれが1株単位で買えるようになれば、2000円になる。子供の小遣いでも買えるか、少なくともお年玉なら十分である。
実のところ、有名企業が1万円程度で買える。それがNTTである。どういう背景があったのかは不明ながら、NTTは1株を25株に分割し、1万円少しあれば株主になれるようにした。8/10の株価は164円だから、1単元を買うとして1.64万円あればいい。
逆に頑なに株主を制限している企業がある。有名所ではファーストリテイリングである。何回も書いて失礼ながら、8/10の株価は34500円だから、345万円ないと株主になれない。キーエンスは60480円だから605万円である。東証は「50万円以下で株主になれるようにせい」と叫んでいるが、「そんなの関係ない」の企業が多い。とくに有名所に。
ということからすると、会社法を改正し(まさに改正し)、単元株制度を廃止して1株で売買できるようにするのが最善である。アメリカ市場には単元株のような「何のこっちゃ」という、言い方を変えれば金融リテラシーを超越した愚問リテラシーが必要な制度なんてありえない。1株は1株、株式を保有していればれっきとした株主である。
「1株でもれっきとした株主」が嫌なら、企業側は株式を併合すればいい。10株を1株とか、100株を1株とか。後者の場合、今の単元株制度と実質的に同じことになるが。
まあ、多くの企業は今のNTTを見習うのだろう。アメリカの場合、1株100ドル程度、すなわち1.5万円程度を基準としている企業が多いようだ。
今よりも少額で株式を買えるようになれば、子供はゲーム感覚で株式を買うだろう。子供が証券会社に口座を開設できるのかどうか、よく知らない。開設できないのなら、親に小遣いを戻し、株式を買って貰えばいい。
信用取引さえしなければ、値下がりしたとしても大損はしない。ちゃんとした企業ならいずれ上がってくる。子供は経済に関心を持ち、新聞などのニュースを真剣に見るだろう。金融リテラシーはもちろん、経済全般、社会全般の知識も自然と得られる。そんな子供の中から起業家が今まで以上に生まれてくるのは必然の流れだ。
「株式投資、ええっ、博打打ちを育てるのか」との批判もあろうが、ゲーム中毒、スマホ中毒になるより余程ましである。それに信用取引をしなければ博打からは遠い。

2023/08/13


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