川北英隆のブログ

株式投資は実践あるのみ-4

先日、某証券会社の懇親会で話をしていて、つい「仕手株」と口走ってしまった。話相手の証券会社の役員から、「仕手株なんて聞いたのは久しぶり」と冷やかされた。
仕手株とは何か。野村證券の「証券用語解説集」の説明が正しいので、それを見てほしい。ウィキペディアの説明「特定の投資家によって株価が意図的に操作されている銘柄のこと」というのは正確でない。
いずれにしても値動きの激しい株が仕手的な株である。「そんな仕手的な株式を持っていれば、大口の投資家(仕手筋)がその株に目をつけ、買上げてくれ、こっちはその恩恵から大儲けできるかもしれない・・」なんて理由から、昔はそういう株式も買った。
仕手的な株式にはボロ株が多い。企業業績が普段は冴えないのである。とはいえ、僕が狙うのは単純なボロではなく、技術面などを磨けば輝くかもしれない企業である。
僕が目を付けていた代表例として、トヤマキカイがある。期せずして工場見学をしたことのある日平産業と合併し、2008年に小松製作所の完全子会社となり、小松製作所の株式と交換になった。いつ買ったのかは忘れたが、小松製作所の完全子会社時に暴騰した。苦節何年かも知れないが。
日東製網というのも思い出した。「これからは漁業の時代や」とネコ的に思ったのだが、跳ねなかった。
かつての同僚I君には「仕手株が大好きなんやから」と評される。コロナ前に飲んだ時もその話題になったので、「せやないで、それは一面だけ」と反論しておいた。
これもつい最近の証券会社での席だったと思うが、「株式は長期投資が基本だが、それだけでは面白くないので、余裕があれば資産の1割とか2割を短期的な投資に振り向けるのがいい」と発言した。多少は証券会社へのリップサービス的な側面があるとはいえ、僕自身の投資行動を振り返ると、本心に近い。仕手的色彩のある企業が好きなことと符合する。
以上の仕手株の説明から、「それってバリュー株投資ではないのか」との見解が登場するだろう。それに近いかも知れないが、日本のそれとは基本的には違っている。というのも、バリュー株投資が「投資家の評価が低い」ことに着目するのに対し、僕の場合は「磨けば輝くかもしれない」ことにある。と言っても、「磨けば輝くかもしれない」ことにほとんどの投資家が着目していないわけだから、結果は同じかも知れないかな。
以前から何回も書いてきたように、普通の個人にとっての株式投資は長期が正しい。「安値で買い、高値で売ろう」なんて誰でも考えることが、毎回毎回、現実になるはずもない。でも、株式投資に慣れてくれば多少の遊びというか息抜きも必要だろう。その遊びの1つとして仕手株を紹介しておいた。

2023/08/13


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