川北英隆のブログ

年末恒例の損出し

知人が東電株で儲けたことで、思い出したことがある。知人は、その東電株の利益でもって、他の投資で生じている損失を埋めた。正確には、東電株での利益をかぎりなくゼロにするため、他の投資で被っていた評価上の損失を実現した。すべて税金のためである。
証券投資では損益の通算ができる。つまり、証券投資での利益と損失を足し合わせ、税務申告することになる。だから、証券投資で利益が出れば、他の証券投資で被っている損失があるのなら、その損失を確定し、通算することが税務上、望ましい。
今やネット証券の手数料はゼロである。だから、長期に保有するつもりの企業の株式であっても、もしも値下がりしているのであれば、そして他の企業の株式や証券投資で利益が確定しているのであれば(配当金も利益の一種である)、その値下がり損を瞬間的に確定し、損金を計上するのが正しい。
「値下がり損を瞬間的に確定」という意味は、「その企業の株式を売り、損失を出し、同じ値段で買い戻す」ことを意味する。実質的に、その企業の株式の保有が続く。
この点、株式の売買手数料がゼロであれば、コストなしに保有を続けられるうえに、損失を確定できる。その確定した損失を他の株式での利益と相殺すれば、利益に対する20パーセント少しの税金を免れられる。
もちろん、損失を確定した後も、その企業の株価が下がれば最悪である。その企業の株式を継続して保有する値打ちがあるのかどうか、その見極めが重要となろう。その企業が「こりゃアカン」となれば、買い戻す必要がないのは当然である。
念のために言うと、以上に関して税務上は確定申告が必要となる。だから年末になると、損失を瞬間的に確定するのがいいのかどうかの判断が求められる。

2023/12/19


トップへ戻る