川北英隆のブログ

為替レートは牛肉

今日の日経新聞の1面トップは悲惨な内容だった。円安になったから、学校給食に牛肉を出せないとか。能天気というか能無しというか、カネの力に尻尾を振る為政者ばかりだったので、学校給食が僕らの時代に戻ってしまうのだろう。
ある年、某日銀総裁に某自動車メーカーのトップが訪れ、「円高は困る、円安にしてほしい」と訴えたとか。その某日銀総裁はカネに潔白かつ理論派だったので、当然の如く、その嘆願をはねつけたと聞く。
当時、その自動車メーカーは世界トップ近くを走り、最先端の技術を誇っていた。世界経済のことを十分に知っているはずであり、かつトップ企業として日本経済全体のことを考える立場にあったはず。なのに自分達のことだけしか頭になく、円高は困ると訴えた。しかも日銀には、円レートの方向を決める直接的な力もないのに。
その某トップ、今の新聞の多くが「円安は日米の金利差にある」と書き立てているのと同じ頭と発想しかなかったことになる。その彼が経団連のエライさん(トップ)だったとは。もっとも、誰が経団連のトップなのか、僕には関心がない。
何回も書くが、円高は国民に力をもたらす。国民の力を強くするため、企業は円高に打ち勝つべく経営努力をしなければならなかった。なのに政治家は献金者である企業に尻尾を振り、円安を目指し、経済界もそれに意を強くして努力をサボった。これが今日の日本の円安を引き起こしている。円高は日本にとっていいことだとの認識があったとしても、今の円安をどこまで防げたのかはわからない。しかしながら、「牛肉を食べられない」なんて事態は少なくとも起きなかったと思う。
5/9に鯨カツのことを書いた。「そんなん、二度と給食で食べたくない」とも思ったのだが、牛肉が手に入らないとすれば、再び鯨カツの登場か。カミさんをはじめ、同年代の話を聞いていると、鯨の竜田揚げが美味かったらしいから、そちらに乗り換えか。
今の円安、360円時代に比べるとまだまだ高い。僕らの時代、給食のミルクというと脱脂粉乳を臭いアルマイトの食器に注いだものだった。そこまでの円安へは、さすがに道程は遠いだろう。政治家も産業界も心と頭を入れ替え頑張って欲しいものだ。そうでないと、臭いアルマイト入り脱脂粉乳の給食が近い将来、現実になる。

2024/06/03


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