川北英隆のブログ

山での危険・落石

山の急斜面では落石が怖い。そのためにヘルメットが必要なのだが、僕自身はあまり付けたことがない。ヘルメットの登場をお願いするような岩山にあまりは入らないし、かさばるからである。今年、スロベニアの登山ツアーではじめて自前のものを「買わされた」。
落石に出会った記憶もあまりない。もちろん、何人かで歩いていて、誰かが石を落とすことはある。でも、それがメンバーの誰かを危険に晒したことはなかった。
覚えていることが3つある。
1つは南アルプスの北岳から大樺沢を下っていた時である。一緒だった友人が大きな岩を落とした。その落石がどの程度の影響を与えたのかどうか不明なのだが、下から登ってきた登山者がえらい剣幕で怒った。少なくとも実害は何もなかったのだが。
2つ目は飯豊山系の石転び沢の登りである。大きな雪渓を登り、飯豊の稜線に立つメインのコースである。その雪渓の続く沢の名を聞き、少し心配だったことが現実に生じた。雪渓の途中で休んでいると、すぐ近くで「ヒューン」という音がした。石が上から落ち、空中を飛んだ音である。一緒だった通産省のメンバーの誰もその石の犠牲にならなくてラッキーだった。かなり上を歩いている誰かが落としたのか、自然に落ちたのかは不明である。
もう1つは上高地の焼岳である。百名山の1つだというので、元の会社の知り合い2人と一緒に登った。立ち入りが制限されていたか解かれた直後だったかは忘れたが、山頂付近のコースが不明瞭だった。立ち木がないから適当に登り、大きな岩を掴んでよじ登ろうとした瞬間だった。その岩が落ちそうになった。何とか一緒に落ちる前に食い止めたが、指が石の間に挟まり、しばらく痛んだ。
いろんなことがあり、それが記憶の1ページを作る。だから山は面白いと言えるのだが、記憶がそのページで終わることもあるから怖いとも言える。

2025/11/24


トップへ戻る