
今年5月に加西アルプスを歩いた。加西とは加西市であり、加古川(市ではなく川の名前)の西側の市という意味だ。加東市とセットになっている。その加西市の中心は北条なのだが、そこにいくつか低山がある。5月に「ついでに」と計画したものの、暑くて断念した。
北条まで、京都からどう行くのか。今回は東海道本線で加古川駅まで行き、そこで加古川線に乗り換え、粟生(あお)駅で降りた。粟生からは北条鉄道(元JRの北条線)を使い、終点の北条町駅で降りればいい。
北条には赤松氏の居城があった。室町時代のことである。その後も町は交通の要衝として栄えた。町の中心にある酒見神社の祭(節句祭)や、その門前に並ぶ商家の家並みに名残がある。今はなき三洋電機の発祥の地でもある。
今回も山以外は事前の計画をほとんどしなかった。電車の中で考えていると、山だけでは時間が余りそうだと思い、町の散策を少し加えることにして、酒見寺、酒見大明神(住吉神社)、羅漢寺の五百羅漢を見学した。と、北に紅葉真っ盛りの小谷(こだに)城跡(218m)が見えたので、「これもついでに」と登った。
小谷の城山の展望とクヌギ類の紅葉を楽しみながら、稜線部をぐるりと歩き、町に戻った後、元々の計画の実行に移った。
最初は北条の南西にある寺山(122.7m)である。山頂は水道設備(貯水槽)の上部にあり、三角点を確認した。踏み跡も付いていた。
寺山から西に県道を歩き、市川(姫路に注ぐ川)流域に出た。その西端に住吉山(200.0m)と飯盛山(197.5m)が向かい合っている。
まずは北側の住吉山に登った。道は整備されているのだが、途中に急な箇所があり、足元の岩と落ち葉で滑りやすかった。山頂からの展望はない。
次に南側の飯盛山に登った。この山は地元では春日山と呼ばれ、城跡である。ハイキングコースが設置されている。山頂部が刈り払われていることと、山頂部が比較的急なので、展望を楽しめた。
麓に下り、西へと播但線の溝口駅まで歩いた。これで5月に計画した全山をなんとか歩いたことになる。もっとも5月の計画は無謀で、山歩きしながら粟生から溝口までローカル電車と徒歩でつなぐのは、暑くなかったとしても無理だっただろう。
上の写真は酒見寺の多宝塔と地蔵堂、下は羅漢寺の来迎二十五菩薩である。


2025/12/03