川北英隆のブログ

政府が最初に出すべきは知恵

政府予算の規模拡大が議論の俎上に載っている。資金、関西弁ではゼニで物事を解決しようという旧態依然とした発想が、財政規模拡大の根底にある。すでに当年度の補正予算として可決したガソリン税が典型である。新年度予算案にもその発想が息づいている。
本日の日経新聞「オピニオン」は、上記の意味で面白かった。アベノミクスの推進役だった浜田宏一氏がMMT(現代貨幣理論、典型的には財政赤字なんて紙幣をガンガンすればナンチャコッチャない)に飲み込まれそうな状態から脱出したと、自虐的に語っている。ようやく目を覚ましたかとの感想を持った。
それに対して会田ナンタラ氏は経済規模拡大が先決で、そのための積極財政だと主張している。これは日本経済と企業の足元を見ない議論である。政府支出の増大を呼び水として企業の投資を増やせとしている(文面を読むとそう推察される)が、そんな単純なことで企業が投資を増やすのだろうか。もしもそうだとするのなら、とうの昔に実現している。
僕として、政府支出をさらに絞れと主張するつもりはない。政府が支出するのなら、それはAI(人工知能)社会に向けた投資である。
AI関連の投資は日本に不足している。車の運転の自動化が進むのは必然である。しかし、日本の道路には自動運転のための設備がきわめて乏しい。
薄々危惧していたことだが、道路のセンターラインがなければ自動運転は難しい。そのセンターラインが高速道路でも消えかけていると、知人がぼやいていた。センターラインだけではない。自動運転は電気自動車(EV)との相性がいいのだが、ではEV用の充電施設はというと、日本はお粗末である。EV化で遅れる日本の自動車業界が声を潜めているから、政府は動かないのだろう。その他、近未来の車に関する投資は種々ありそうだ。
「オピニオン」の3人目である白井さゆり氏は「デジタル政府を作る」ことを主張している。その例として国税のデータ化を挙げている。当然かつ正論である。
日出ずる国、大和の生んだ高市総理が最初になすべきは、近未来の政府と日本の絵柄を描くことである。そのうえで、何に限られた予算を付けるべきなのか、動いてこなかった日本企業に何を期待し発破をかけるのかを決めるのが正しい。必要であれば、政府が先行投資をし、赤字を膨らませても、それは許される。
確認しておくと、予算規模ありきではない。知恵ありきである。米中欧に比べて立ち遅れている日本企業のAI研究開発投資とAI化をいかに促すのかである。そのためには政府がAIに向けて本気を出し、手本を示すべきである。企業としては「政府にも負けた、とほほ」だろうが。

2026/01/05


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