川北英隆のブログ

第一生命の上場に思う

4/1から第一生命が上場した。時価総額1.6兆円、国民1人当たり1万円ちょいである。これで景気が盛り上がるとは思えないが、ないよりはましか。
念のために書いておくと、日本の従来の生命保険会社は相互会社組織だった。このため、株式というものはなかった。だからというか、当然、株式を上場していなかったのだが、今回、第一生命の会社組織が相互会社から株式会社に転換し、4/1からその株式の上場も実現したわけだ。思い出したのは、1973年に日本生命に就職が決まったとき、当時生きていた母方の祖父が会社四季報を見て、「そんな会社、ないなあ」と言ったことだ。その程度の知名度だったことになる。
それで、1.6兆円の時価総額をどのように評価したらいいのか。4/1現在、1.6兆円は上場企業の上位40番目程度である。金融機関では、銀行トップの三菱UFJの6.9兆円、野村の2.6兆円、東京海上の2.2兆円を下回っている。やはり、というのは祖父の感想と同様、今もその程度だったのかというのが正直な感想だ。かんぽ生命を横におくとすると、業界トップの日本生命の経営規模は第一生命保険の約2倍だから、単純にその倍率を掛けると、万が一上場した場合の時価総額は約3兆円となる。この金額、やはり寂しいとの印象を拭えない。1980年代後半の、「ザ・セイホ」が思い出される。
前向きに考えると、これまで相互会社の「所有者」として、契約者が保有している価値は表面化しなかった。今回、その埋もれていた価値が株式の価値として表面化し、市場で「売れるようになった」のは喜ばしい。「まあ、一杯やるか」、程度のご利益はある。
そういえば、鴨川の桜もほぼ今日が終わり、新芽が出始めた桜の下での酒盛りがちらほらだった。

2010/04/06


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