川北英隆のブログ

行き過ぎた自粛ムード

東京で知人に会うと、話題はどうしても大震災に行きつく。関西では考えられないことだが、前にも書いたように、本当に店舗が暗いし、街も暗い。メインの通りでさえ道路の照明が消されている。
ビルでは、トイレの照明が消されているか、間引かれているとのこと。「いろんな性格の人間がいるんで危険やん」と思うが、照度を落とすのが常識らしい。
今日、東京で聞いたのは、タクシーが車の屋根の「目印」を消して走っているとのことだった。夕方、東京の高い料金のタクシーに乗る必要があったので、気をつけて見ていると、確かに3割くらいのタクシーが目印を消している。用事が終わって宿に着いたのは夜だったが、やはり目印を消したタクシーが走っている。「そんなんで商売になるの」と質問したくなると同時に、「どんだけの意味があるの」とも思う。タクシーの電源は東電からのものではない。純粋の電気自動車なら別だが、まだそんなものは稀だ。ということで、タクシーが目印を消したとしても、電気不足に何の効果もない。「何かやってる」との努力を誇示するだけの効果だろう。村八分にされないためのポーズでしかない。
故人を偲ぶ通夜でも、パーっと飲み食いするのが常識である。残された親族や縁者が元気で生活していることを故人に示さないと、その故人は浮かばれない。今回もそれと同じではないか。日本がすたれれば、故人の弔いをどうするのかということだ。
タクシーの目印を消すなんて、異常でしかない。もっと言うと、大震災から1月以上経つのに、何も後処理を決められない政府の能力水準が、異常な自粛というか、沈滞ムードを作り出してしまっている。

2011/04/22


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