川北英隆のブログ

次の日銀総裁は何を行動する

日銀が金融政策として「2%のインフレ目標」を採用した。白川総裁の抵抗もついに弓折れ矢尽きたようだ。その白川さんは4月早々に退任する。次の総裁がこのインフレ目標の責任を負う。
今日、某所での会合で確認がてら、「4月以降、そんな日銀総裁に誰かなりたいと思うのだろうか」と質問した。その質問の真意はすぐ後で述べるとして、これに対する市場関係者の返答は、「それが予想に反して沢山いる」とのことだった。もちろん、「2%のインフレ目標」とか「大胆な金融緩和」とかを大っぴらに主張していた人達にとって、その発言の責任上、手を上げるのが筋なのだろうが、実際のところ早々に、「要請されても就任しない」宣言をした、ある意味いつまでも無責任な立場に居たいと切望した爺さんもいる。
では、新しい日銀総裁とは何をする人なのだろうか。今日の会合でも、そもそも「1%のインフレの目途」でも達成できなかったのに、2%目標とはどういうことなのかとの意見が強かった。思うに、数字を高めに書き、目途を目標に修正するという、作文の好きな官僚的発想であろうか。
もっとも、日銀は責任をもってインフレ目標に向けた政策を推進するわけだし、表面上、具体的な政策を政府が日銀に指示するわけでもない。見方を変えると、日銀が「独立した機関」として具体的政策を考案し、遂行するのだが、でも裏では政府が日銀に指示する可能性が大いにある。つまり、政府は主導権を握りつつ、実際の責任を日銀に押し付けることができる。極めて巧妙だ。
もう少し書くと、新しい日銀総裁は政府の傀儡に陥る可能性が高いとも言える。傀儡にならないためには、タフな精神力と政治力と自己犠牲精神が求められる。そういう人物がいるのだろうか。「いる」と信じたいのだが・・。
経済にマジックはない。気合だけでは何も好転しないし、事態が悪化するかもしれない。茶坊主が日銀総裁になることだってある。「2%のインフレ目標」は国民の期待に訴えかけるものだ。国民が信頼すれば、インフレを想定した行動、たとえば家や自動車や家電などを今すぐに買う行動をとり、インフレが実現する。これまでとことん国民を裏切ってきた政府を国民がどこまで本気で信頼するのだろうか。最終的には、日銀と政府が国民の信頼を取り戻す可能性に、未来の日本が全面依存している。

2013/01/23


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