川北英隆のブログ

社会人になった卒業生へ2

「社会人になった卒業生へ」の1は去年の4/1に書いた。仕事で100点をとる必要はない。80点を取るか、120点を取るかだというのが主旨だった。今回はその続きである。
この3月の卒業式はアメリカはSECの面接(正確には面接試験みたいなものと、彼らの情報収集)が要請されたというので東京にいた。このため、出られなかった。といっても、卒業式の日に大学にいることは、これまであった11回の機会のうち3回だけだったと記憶している。もっとも、11回のうち4回は直接知っている卒業生がいなかったのだが(新設の学部もしくは研究科所属だったので)。
それはともかく、去年の「訓示」の続きを書いて、社会人になったお祝いとしたい。
訓示4:就職した企業が合わなければいつでも転職するつもりで仕事をすること。今いる企業で通用する能力はも、実は本物でない可能性が高い。蛸壺の中というか、コップの中というか、井の中というか、そういう能力をいくら養ってもつまらない。世の中で本当に通用する能力を養うことが重要である。
訓示5:他の企業との交流を積極的に行うこと。井の中の蛙にならないためには、他社の人間と付き合うことである。できれば飲み会だけではなく、勉強会のようなものが付いてるといい。とはいえ多くの場合、どうでもいいような輩が多いのが実態だが、時たま、素晴らしいと思える出会いがある。僕自身を振り返ると、同じ会社での付き合いよりも、どちらかと言えば他社の人間との付き合いのほうが多かったし、有意義だった。その中から、会社を辞めてからも付き合う者が出てくる。
訓示6:「楽しむこと」が一番である。楽しむとは、一歩離れて自分や会社を眺めることである。離れれば、馬鹿馬鹿しいことをしてると見えるかもしれないし、評価できることをしてきたと思えるかもしれない。そんな眺めを得るだけで、少しは余裕が生まれるはずだ。加えて、これから先、何をするのが最も望ましいのかという展望も得られる。「楽しむこと」のバージョンを変えると、休暇もできるだけ多く取ることである。職場によって、上司によって難しいかもしれないが、「彼/彼女は休むけど、仕事はきちんとする」との評判を得れば勝ちである。しかも休めば、新しい発想も浮かぶ。休むことにより、一歩離れて自分や会社を眺める機会が得られるからだ。
そういえば、初秋のある日、山歩きのため、富山は八尾の温泉に泊まったことがある。夕方5時頃に宿に着き、念のために会社に電話をしたら、今は亡きT君が電話に出た。ユーモアのわかるT君だからというので、「今、どこそこに着いてビールを飲み始めたとこ、何かあったら電話してね」と言ったら、何やら皮肉を返してきた。まだバブルの余韻の残る(調べると1992年)、表面的には良き時代だった。

2013/04/03


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