川北英隆のブログ

どこへ行くのかシャープ

シャープが好きなので注意を払っているが、動きが気になる。パナソニックはそれなりに多角化していて、体力も比較的ある。それと比較してシャープは見劣りするのに、その自覚に乏しいような。
気になるシャープの動きとは、総花的に資本提携を模索しているように見える点だ。台湾の鴻海(ホンハイ)との大規模な資本提携が暗礁に乗り上げて以降、クアルコム、サムスンと資本提携し、さらに今日の報道ではデンソー、リクシル、マキタとの提携も模索しているとのこと。
ホンハイ、クアルコム、サムスンならまだ関連性は理解できるものの、デンソー、リクシル、マキタの名前を見た瞬間、「何のこっちゃ」と思ってしまった。シャープは公式には「決定した事実はありません」と、自社のホームページで否定している。しかし、火のないところにの格言どおり、水面下での必死の動きがあるのだろう。できれば1000億円の増資をしたいとの報道もある。3月末の純資産が1348億円だから、この報道されている増資が実現すれば、純資産はほぼ倍増する。
問題は、提携先の名前がデンソー、リクシル、マキタということにある。
各社、全く関係がないわけでないものの、やはり本業とは遠い。魚に含まれる成分に薬効があるかもというので、漁業会社と薬品会社が提携するよりも、さらに遠いだろう。もっと良い例がにわかに思い浮かばない・・。そうそう、海の中の魚の映像を撮影するというので、漁業会社と放送会社が提携するようなものか。
新聞によると、マキタ株が売られたらしい。さもありなんである。マキタ側にどんなメリットがあるのか。かつての株式持ち合いのようなものだが、マキタにとっては、保有したシャープの株式価値が大きく低下するリスクを抱えることになる。一方、シャープとしてはリスクが少ない。マキタの取締役であれば、善管注意義務を果たすために、シャープ株を保有するに十分な議論と根拠が必要と思うだろう。
いずれにせよ、名門シャープとして、面子にこだわってきたのだろうか。経営権を放棄せず生き残りを図る、日本的経営の典型である。凶と出るか吉と出るか。ある投資顧問会社に言わせると、日本企業は収益性を上げるため、もっと経営の統廃合を積極的に進めるべきだと。この主張から判断するかぎり、資本提携が首尾よく進んだとして、シャープにとって良い目の出る可能性は少ないような。

2013/07/19


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