川北英隆のブログ

日本の技術革新に必要なこと

7/25の日経「大機小機」は「一直」氏だった。誰だかほぼ見当が付いている。的外れな論調の記憶はない。人柄が表れているのだろう。しかし、今日の論調は少し強気すぎるのではないだろうか。
今日の論調を僕なりに要約してしまうと、日本の技術革新と、それがもたらす日本の経済成長への大きな期待である。人口減によるマイナス成長傾向をカバーして、さらに高いプラスの成長を可能にすると述べていた。
実のところ、この見解は安倍政権の日本経済再生戦略の発想とそっくりである。日本経済再生戦略では、1980年代後半のバブル当時と同じ水準にまで、技術革新とそれによる生産性の向上を図りうるとしている。
もちろん、人口減によるマイナス成長への傾向を打ち消すには、技術革新による生産性の上昇しかない。とはいえ、その道は険しいのではないだろうか。
1つは、本当にバブル期並みの技術革新がなされるのかどうかである。当時の日本企業には大きな自信があった。この自信と、高度成長期に教育を受けた大量の技術者が熟練の域に達した状況とがあいまって、高い技術が獲得され、それが生産プロセスに組み込まれた。
それから四半世紀が経過し、沈滞した日本経済しか知らない者達が経済活動の中心を担うようになっている。企業や技術者はどこまでバイタリティーを持って技術を革新していくのか。その技術を生産の現場に組み込んでいくのか。大きな力をかけないことには達成困難だろう。
もう1つは、経済活動と技術もしくは生産性が、「ニワトリと卵」の関係にあるとの事実である。物が売れなければ新しい生産設備を導入する意欲が薄れる。いくら技術が高まったとしても、それを活用した生産プロセスは日本に作られないかも。物が売れると期待できる海外に新設することになりかねない。もちろん、海外での利益はいずれ国内に還元してくるのだろうが、その恩恵を味わうのは、日本全体というよりも、一部の卓越した企業とその従業員でしかない可能性が大きい。言い換えれば、格差の拡大である。この結果、日本経済に与えるプラスの効果が小さくなってしまう可能性が高い。
以上から、株式投資に関して何が示唆されるのか。いくつか感じるところがあるが、これはまた追々に。

2014/07/30


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