川北英隆のブログ

円安は経済にマイナスでない?

日銀の黒田さんが「円安は経済全体にマイナスでない」と国会で発言した。もう少し正確には「経済実態と合った形で円安になっていった場合、経済全体としては・・プラスだ」と。
わかりにくい言い回しである。解釈すると、日本経済の実態が(長期的にか、短期的にかはともかく)相対的に良くないので、円安にならざるをえないとのことだろう。ただし、円安になることにより、将来は経済が良くなるとも言っている。そうなった将来、再び円の価値を上げるかどうかに関しては冒頭の単文からは読み取れない。
その将来に関して、僕としては黒田さんの発言の本意を知りたいとは思わない。国会での発言を分析したところで、大したことが浮かび上がるとは思えない。
これに関連して思い出したのは、某国営放送が「最近の円安は日米の金融政策の差によってもたらされている」と説明していた。この説明は、それとして正しいのだが、本質を見抜いていない。つまり、金融政策の差が何故生じたのかについてである。では、本質とは何か。アメリカ経済と日本経済に大きな差がある(当然、アメリカ経済が日本と比べて良すぎる)点である。このことから、日米の金融政策にも差が生じ、経済実態のより高いアメリカの通貨(ドル)が高くなる。
結論である。黒田さんの発言は、(これまでの彼の発言要旨を真面目に見てないが)国会議員には通用するだろう。しかし、資金運用に熱心な、たとえばアセットマネジメントを業として営んできた者からはどう見えるのか。企業経営者からはどうなのか。
発言からは、円安は当然だとしか聞こえない。一種の開き直り、金融政策の正当化でもある。それ以上のものではない。

2014/10/03


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