川北英隆のブログ

中国は真の大国になれるか-3

経済がどの時点で成熟を迎え、老齢化するのか。日本の場合、2000年前後に労働力人口がピークアウトしている。前のブログにも書いたが、相前後して、1999年に日本の金融自由化がほぼ終了した。
つまり日本は、自分自身が老いる前に、やるべきことはやった(経済を開国した)のである。では中国はどうかというと、現在、労働力人口がピークアウトした(減少に転じた)とされる。しかし、金融自由化はいまだに発展途上の段階である。
労働力人口が減少に転じると、実際に働く人数は老人がどの程度働くのかによるのだろうが(中国の場合、良し悪しはともかく、日本と違って女性が働いている)、経済成長のための推進力が1つ失われ、結果として潜在的な経済成長が低下せざるをえない。この成長率の低下に対しして中国政府がどのように反応するのかに関心がいってしまう。
これまでの経済成長の恩恵が地方とりわけ少数民族にまで十分に行き渡っていない現状において、経済が減速してしまうのなら、金融自由化を推進できるのか。結局のところ、中国が経済規模において大国でありながら、金融自由化ができず、発展途上のままに推移するリスクが大きい。
このシリーズの最初に述べたように、中国の野望はドルに変わる世界通貨の地位を通貨としての元にもたらすことにある。しかし、金融自由化が進まない限り、この野望は野望のままに終わるだろう。世界経済にとっても、この中国の状態は不安定であり、リスクである。どうなることやら、まだまだ中国経済を横目に睨みつつの投資判断が続くのだろう。

2015/08/08


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