川北英隆のブログ

ハプニングのない講演は興味薄

この題で物を書くには少し早い。しかし、感じたことはメモしておくにかぎる。ブログはメモだから、間違っていれば修正できる。で、何のこっちゃというと、パネルディスカッションである。
今週、パネルの司会をした。来週もパネルの司会を頼まれている。残念ながら(というほどのことではないが、事実だけを書くと)、大学の行事のため無給である。そういえば、今月から来月は講演やパネルやらが集中している。頼まれない時は数ヶ月間も暇(平穏)なのだが、頼まれ始めると何故か集中してしまう。とはいえ、たとえ無給であっても、関係する本が何冊か売れると「まあ、いいか」となる。
本題である。自分が司会するパネルの合間に、たんなる聴衆として出席できるパネルが入った。そこで、今後の参考のために出席し、聴いていると、実のところ面白くなかった。
何故なのか。多分、パネルの前に、念入れに打ち合わせているのだろう。だから、非常にスムーズに発言が進行し、言葉に途切れや詰まりがない(とはいえ、僕は原稿を読むのが大の苦手なので、読む極意を教えてもらいたいと思ってしまう)。
原稿に基づいた発言とは、テレビドラマの台詞みたいで面白くない。しかも、(ひょっとしてこちらがより根本的な原因かと思うが)、前の発言に対する突っ込みがない。
通常の場合も、パネルでの突っ込みは少ないのだが、そうはいっても僕が司会する場合、事前の打ち合わせも十分でないので、少なくとも「誰それさんが言ったように」との台詞は何回か登場する。この発言があり、またパネルの参加者は前の発言の影響を受け、事前に考えてきた発言を少しずつ修正するので、これらの緊張感が聴衆にも如実に伝わる。
もちろん、何の準備もないパネルなんてほとんど成立しないだろう。僕が司会する場合であっても、パネル全体の流れを示し、事前の準備を依頼する。でも、完璧な準備、すなわち完璧なシナリオの作成もどうだろうか。
まとめである。今回聴いたパネルの場合、90%程度シナリオが作成されていたように思えた。ここまで準備すると面白くない。少し筋道から振れた発言が生まれうる、60%程度の準備が(って、どんなこっちゃか、司会の経験のない場合にはイメージできないだろうが)、聴衆の興味を生み出す上限かなと思っている。

2015/10/10


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