川北英隆のブログ

国民年金のための株式投資論

野上浩三さんから『国民年金を万全にするための株式投資論』をいただいた。主旨は2つあり、株式投資は年金財政に資する、公募増資(時価発行増資)には欠陥があるという。「トータルEメディア出版」(TEM出版書店)である。
実は、野上浩三さんは日本生命での元上司である。2回仕えた。1回目は大阪で、2回目は東京で。
大阪では財務企画部門だった(当時は財務課といっていた)。まだ僕は新人(2年目)だったので、いろいろと教えてもらった。大阪勤務なのに、東京で大きな土地を買われたことを記憶している。場所は美しが丘、まだ電車の乗り入れがなかったのに、いずれ延伸されるからという先物買いだった。その相場観に感心した。
東京では株式部門だった。僕は主任として(ほぼ誰でも5年経てば主任になれた時代に)株式のアナリストをしていた。その当時(1980年代前半)は、時価発行増資が異常な活況を見せる少し前だった。80年代の後半に僕は株式部を離れ、債券やデリバティブのセクションに異動した。
思い出すと、当時の株式セクションは生保の株式投資が市場において輝いていた最後の時代だったように思う。アナリストの分際で、純粋な株式投資銘柄を推奨できた。その結果、いくつかの優良株のポジションが積み上がった。
野上さんの出版は、その当時の株式セクションと、そこでの議論を思い出させる。その当事を思い出すたびに、「生保の株式投資は政策保有だ」という「1か0か」的な決め付けの議論に反発したくなり、実際にそうしている。

2015/10/28


トップへ戻る