川北英隆のブログ

企業文化を変えるのは至難の業

三菱自動車が燃費試験のデータを偽装していたことが判明したとして、事実の発表とお詫びの記者発表をした。発覚した発端は、三菱自動車に生産を委託している日産の調査によるらしい。
三菱自動車は2000年代に入り、リコールすべき不具合の届け出を故意にしなかったことから、ブランド価値を失墜させ、経営破綻寸前にまで追い込まれた。ただ、三菱の名前を冠した企業であることの威力だろう、三菱グループの支援によって何とか生き延びてきている。
今回の事件で思うのは、企業の体質がそう簡単に変わらない事実である。大学での企業価値に関する講義でいつも断言していたのは、ダメな企業が何年か経って良くなることは稀である(実際、すぐにはそんな例を見つけられない)、一方で良い企業が普通の企業になる例はいくつもあるという実体験だった。だから、ダメな企業を長期投資で買うのは愚の骨頂に近い。
実際、ダメ企業を思い浮かべることはごく簡単である。その一番の例は、父親が「親方日の丸」と茶化していた日の丸マークの運送会社(国策会社としての経緯から日の丸マークの会社)である。実は、今となってははるか昔、含み資産株狙いで買ったことがあった。結果というと、儲からなかったことだけは確かである(損したかもしれない)。宅配便では猫に負け、撤退してしまった。今の時価総額を比べると、猫の1/2くらいである。
アナリストをしていた頃にも、決算説明などを聞いて、「根からアカン会社やな」という評価がいくつもある。その中でも最たる機械メーカーを10年くらい前だったか、ふとした機会に調べてみたところ、やはりダメだった。今、ついでだから株価を見たところ、潰れそうである(前から潰れそうだったが)。
世の中そんなものだろう。経営者が次の経営者を育て、選ぶ。類は友を呼ぶのか、朱に交われば赤くなるのか、原因と結果はともかくとして、悪い伝統は受け継がれるし、受け継がれやすい。
ということで、これもまた、市場を真似て株式投資する愚の一例である。株式投資の対象企業は選ばないといけないし、選べる。

2016/04/20


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