川北英隆のブログ

整合性ある政策への要請-2

数日前の続きである。働くことに関して、今のさまざまな政策が整合的なのかどうか。働く側に立って、いくつかの疑問を書いておきたい。
働く者には残業を減らせ、月末の金曜日は一斉に休め、その代わりに祝祭日は増やすと言う。一方で、働き方の質の改善はどうなっているのか。質を改善せずに労働時間を減らせば、日本のGDPが落ちる。
たとえば、一斉に休んで混雑した場所に遊びに行ったところで、疲れるだけ。また、役所がいろいろ命令したところで、役所自身の働き方は、見知っているかぎり手本とならないし。
質を改善するには、自主的に有給休暇を利用させるに尽きるだろう。仕事に乗ってきたとき、外から「休め」と言われるのは無理難題でしかない。仕事をする側の自主性を尊重すべきである。真夜中もぶっ通しで仕事をしたいときもあるだろうし、疲れて昼間でさえ仕事をしたくないときもある。
今後の日本に求められるのが創造的な仕事だとすれば、自主性がますます重要になる。現実にはというと、休みの問題を筆頭に、働く者が自主的に質を上げるための工夫がどこにもない。
思い出したが、働く質を上げるには従業員の個々人のレベルを高めることが一番である。しかし、新卒の採用現場は、何回も書くように、教育無視である。20代前半の時一番の伸び盛りの期を、意味のない就職活動に費やしてどうするのか。厚労省は、この就活の問題を文科省の仕事だと見ているのだろうが、これこそ縦割り組織の典型だろう。
もう1つ、職場の地方分散を図ることが重要である。実は、いくつかのアセットマネジメント会社を京都に誘致しようとしている。ファンドの運用を東京で行う必然性はどこにもない。むしろ、弊害となることも多いだろう。
この点、京都に拠点を構えればどうなのか。海外投資家を京都に招けば、喜んで来る投資家が数多くあると思える。それと、いつか書いたと思うが、東京にいることの雑音(役に立たない、もしかしてマイナスの情報)から逃れられる。
現実はどうなのかと言うと、東京を金融の中心にしようとの動きが盛んである。これを無下に否定しないものの、業態によりけりだろう。何でもかんでも東京というのは完全に馬鹿げている。
いずれにしても多様性の時代であり、多様性がグローバルに評価して価値のある事業を生み出す。政府が上から目線で一律に決めつけることが間違いだと、過去からいくつもの事例が示しているし、政府自身それを経験してきたはずである。それなのに、今さら何を政府主導で行うのか。政府という既得権益の死守だとしか思えない。もっと発想を柔軟にし、多様化を図るように努力すべきだろう。

2017/05/24


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