川北英隆のブログ

不動産の受け渡しと倒産

着物の踏み倒しの被害くらいなら、まだかわいいほうかもしれない。問題は住居を買うときだろう。不動産の売買は何回か経験しているが、危ない事例を体験している。
借り上げ社宅を追い出されたとき、当時飼っていた猫の住居問題もあり、中古の家を購入した。この事例では、資金繰り以外、大きな問題はなかった。受け渡しはDVP(Delivery Versus Payment)である。約束した日、仲介の不動産会社の立ち会いの下、互いに契約書や必要書類に押印し、現金(銀行振り出し小切手)と権利書を交換した。
何年も後、その家を売却したときも、受け渡しの方法は同じだった。
京都に引っ越すため、今のマンションを購入する時に問題が発生した。手付金は仕方ないとして(多分、購入金額に対して、なにがしかの割合を入れていたと思う)、残金について、鍵引き渡しの1ヶ月以上前、何月何日までに支払えと連絡があった。
その今のマンション、売主は中堅マンション会社だった。共同販売会社として三井不動産だったかが入っていた。実際、購入交渉も三井不動産が対応していた。
三井不動産に支払えと言われたのなら、相手が潰れる心配はほとんどない。「お代官様、理不尽なことを」と思うかもしれないものの、当時も今と同じで金利水準が低かったから、支払ったと思う。
現実は、売主がどんな会社かも知らないのに、すんなり支払っていてものかどうか。ネットで調べると、すぐに潰れるとは思えなかったものの、評判などからして安心できる状態だとも思えなかった。しかも購入時が日本経済のどん底だったことからすれば、1ヶ月以上の前払いはないなと判断した。
そこで、三井不動産の担当者に電話をし、事情を話し、ぎりぎりまで代金の振り込みを猶予してもらうことにした。返事はOKだった。当時、マンションの買い手が少なかったこともあり、すんなりと融通を利かせてくれたのかもしれないが。
後日談だが、その売主、数年後に潰れた。世の中、そういうものである。

2018/01/10


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