川北英隆のブログ

弁松の弁当を食べる

弁松(べんまつ)の弁当を味わった。日本橋にて160年前に始まった老舗の弁当屋だとか。弁当の「弁」に、専業としての弁当屋を始めた「松次郎」の名を取って弁松としたらしい。
カミさん曰く、森光子が舞台で食べ、出演者にも振るまっていたとかいう弁松の弁当を一度食べたいというので、東京に出て来たついでに某最著名百貨店の本店でうろうろと物色していたら、弁当コンシェルジェなるのにつかまって、アドバイスされたとか。田舎者か、関西者と思われたのだろう。
コンシェルジェによると、弁松の弁当は味が強い、だからお勧めではないとか。カミさんは弁松のを食べたかったらしいが、コンシェルジェが付きまとうので、結局は餃子弁当にしたらしい。何のこっちゃだが。
その弁松弁当を東京駅の大丸で買って食べた。おかずの味はしっかりしていて、甘辛い。でも、調和がとれていて、絶品だとは思わないまでも、さすがに上手な弁当であることに違いない。昔の江戸の、それも芝居などに持ち込んだとしても、少々のことでは傷まないようにしてあると思う。
現代向きではないのは確かだと思う。そもそも和食である。しかも四つ足の肉気がない。若者は自分で食べようとは思わないだろう。コンシェルジェが「食べたらあかん」と言わんばかりにアドバイスしたのは、個人の趣味が全面に出たと思って間違いない。
もう少し客観的に紹介しないと、コンシェルジェの名が泣くとは思うが、そもそも何でもコンシェルジェとかアドバイザーとかネイミング最重視の営業戦略の表れである。でも、自分たちの店舗に入っている店をけなすのは、えらく疑問である。
そういう若い姉ちゃんをコンシェルジェにしている百貨店、業績が振るわないのは当然だと思ってしまう。

2018/10/13


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