川北英隆のブログ

移民のなし崩し的導入は大疑問

ネットのニュースを読んでいると、この1週間、新たな政策が出ている。1つに、熟練した技能を持つ労働者に対して日本での永住を事実上認める方針とあった。また、単純労働者も、新たな在留資格に関し外食や水産業などが検討対象になっているとか。変でしかない。
何が変なのか。
外国人(つまり日本国外で生まれ、日本国籍を持たない者)に、日本国内での権利をいかに与えるのか。入国権、労働権(その他、教育などに関する権利)、永住権、国籍をいかに扱うのか、この枠組みに関する議論が皆無なまま、なし崩し的、パッチワーク的に政策を打ち出している。
これは、政府としての能力、やる気、真実を語る姿勢と度量が大いに不足している証拠である。そうでなければ、少しずつ事実を積み重ねつつ、少し後になって「これがなかったら困るね」と開き直るのかもしれない。そうであれば、姑息でしかない。もしくは、何も考えていないのかもしれないが、そこまで頭が悪いとは到底思えない。
僕として、熟練した技能を持つ者に対しては、日本での永住権や国籍を認めるのは容認する立場である。日本の成り立ち(歴史)を振り返っても、技能者を海外(今の朝鮮や中国)から呼び寄せた。今のようにグローバル化した時代にあっては、日本人だけの社会を地理的な日本で守るのは変だろうと思っている。
これに対し、単純労働に近い者を海外から呼び寄せるのはどうなのか。
差別するつもりは毛頭ないし、今でもコンビニや居酒屋に行くと、従業員は外人だらけであることを知っている。とはいえ、彼らのかなりの割合は身分として「学生」なのだろう。この状態が一変し、一般の外人も堂々と働けるようになるのには懸念が先立つ。
最大の問題は治安である。夜、そんなに危険を感じずに歩ける日本の最大の良さが、完全になくなるかもしれない。
同じことだが、教育の問題がある。外国人に子供が生まれた場合、彼/彼女らの人権の問題が生じる。国籍をどうするのかはともかく、教育を無視することはできない。というか、外国人を呼び寄せた国として、教育の機会を与えないのは無責任すぎる。では、教育を受けさせるとして、その費用と人材をどうするのか。
単純労働に外国人をというのは産業界からの要請だろう。その要請を唯々諾々と受け入れるのは、政府としての人気取りでしかない。政治献金集めか。産業界の要望を受け入れるとして、どのような問題が生じ、その問題にいかに対処するのかを真剣に考えるのが、政府のそもそもの役割である。対処が難しければ受け入れられない。
もっと言えば、外国人労働者、さらには移民を国民がどのように考えているのかを広く問うことが、誠実な政府である。現実は、そんな議論を少しも聞かない。
ほんま、国民をバカにしつつ、パッチワークに徹するという、バカにしている国民よりどの程度能力が高いのだろうかと、疑われても仕方ない政府としての政策が進行している。

2018/10/14


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