川北英隆のブログ

関西電力高浜原発を見学する

原発の密集地域の若狭湾。そこにある関西電力高浜原発を見学した。舞鶴と小浜の中間にある。東隣に大飯があり、こちらは小浜に近い。さらに東、敦賀の近くに美浜がある。
関電の原発は高浜4基、大飯4基、美浜3基、合計11基である。このうち廃炉方針なのが、大飯2基、美浜2基である。今回見学した高浜では2基が稼働中、残り2基は運転後40年が経過したため、20年間の運転延長に向けて改修工事が実施されていた。
かつて(1980年頃)、東電の福島第一原発を見学したことがあった。この時、施設に入るのは比較的簡単だったと記憶している。
これと比べ、今回は非常に厳重だった。事前に申請し、入構カードを発行してもらわないといけない。そのカードを受け取るには、写真付きの身分証明書が必要となる。運転免許証が簡便である。
敷地も、有刺鉄線を張り巡らし、簡単に入れないようになっている。電流が通っているかどうかは質問しなかったが。質問すると怪しまれると思ったわけでなく、質問を忘れただけである。
写真撮影も制限された。だから何も撮らなかった。そのかわりにグーグルマップの切り抜きをアップしておく。大きな円形に写っている建物が原子炉である。可動しているのが左下の2つ、改修中なのが右上の2つである。
改修中の原子炉は、原子炉を覆うコンクリートの建屋に天井がなかった。つまり、原子炉を鉄製の建屋が覆い、その外側にコンクリート製の、天井のない筒が囲う構造だった。
そうすると、放射線が漏れた場合、上空で放射線の一部が反射し、地上に降り注ぐことになり、危ない。そこで、コンクリートの天井を作ることとしたそうだ。その工事がまさに進行中だった。これまでのコンクリートの壁の外側に巨大な足場が組まれ、クレーンやら作業員らがたくさん動いていた。
冷却用の海水の取入口が右手にある。赤く見える構造物(道路用の橋)のすぐ右である。ポンプで水が吸い寄せられ、非常な勢いで水路を左手へと流れていた。その海水が、原子炉から発生してタービンを回した蒸気を冷やし、左手の水路へと流れ出る。
津波が来た時、一番危ないのがこの左右の水路である。このため、水門や防潮堤が新たに設置されていた。日本海側で想定される津波は太平洋側よりも低いので、事前に想像していたのと異なり、巨大ではなかったが。
その他、山火事対策、竜巻対策などがある。これらの対策費が3000億円だとか。このコストは、原発が運転再開されることによって火力発電用の燃料費が節約されれば、数年で回収できる計算だそうだ。
ついでに書くと、暖められた冷却水が流れ込む左手の湾はプランクトンの発生が促進され、魚が多いそうである。発電所の周辺に見える20くらいの点は筏で、それで何人かが釣りをしていた。また、アワビの稚魚を養殖しているそうだ。
帰り、敷地内を歩く2匹のニホンザルを見た。「お前ら、入構カードを持ってるんか」と聞いたが、知らん顔をして、赤い尻を見せながらブラブラ、悠然と去っていった。
20181116高浜原発.jpg

2018/11/16


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