川北英隆のブログ

本当の意味でエコな企業とは

いつも思うことだが、日本企業には主体性がない。お追従型の企業が多過ぎる。それならまだしも、お追従しているつもりが、似非(エセ)になった例もある。流行りのSDGs(国連が提唱する持続可能な開発目標)がその典型である。流行りに乗るだけが能でない。
まず、エセもしくはエセくさい事例を挙げておく。
いつからかは忘れたが、ずっと思っているのが、洗剤や化粧品のCMである。それらを扱うのは消費者関連の企業だから、環境対応(エコ)に優れた企業との評価を受けることが多い。しかし、本当にそうなのか。
髪の毛を毎日洗うのが理想で、そのために「この製品を」と宣伝しているわけだが、視聴者としての僕は、その宣伝を見るたびに「アホかいな」と叫ぶことにしている。というのも、CMに登場するのが、決まってえらく長い髪の女性だからである。
毎日洗うのは仕方ないかもしれないが(僕も、気持ち悪いからその傾向が強い)、環境にやさしいのなら、アホの命ほど長い髪の毛を短くすればいいのではと思ってしまう。短い髪なら、地球環境的に貴重な水の消費量も少ないし、環境を汚染する洗剤(シャンプー)の使用量も少なくなる。
化粧品もそうである。落ちにくい化粧品を宣伝しているかと思うと、他方で落ちやすい洗顔用品を宣伝している。合わせてみると矛盾だらけだと思うのは、女性の気持ちを理解できない男性だからか。いずれにせよ、付けたり、落としたり、そんなので環境にいいはずがない。
極論すれば、洗剤だけではなく、現在の先進国の生活がSDGsのコアの1つであるエコに優しくない。そもそも人類の数が急増していること自身、地球環境の破壊である。とはいえ、人類として生存しなければならないし、豊かな生活もしてみたい。SDGsとは、人類と地球との妥協点をさぐるためのテーマ提唱だとも言える。
洗剤のCMに戻ると、長い髪の女性を使うのは、たくさんの洗剤を使ってほしいからにすぎない。本当にエコに配慮している企業なら、短い髪の女性も使うべきである。もっと言えば、男女の差別に配慮しているのなら、男性も、坊主も使っていい。この点で、日本企業には主体性がないし、考える力がないし、発想が貧困だと思えて仕方ない。当然、そんな企業の株式を買いたくもない。
繰り返せば、企業の論理で、儲けたいとの発想に基づき製品やサービスを紹介するのは、SDGsにそぐわない。企業は儲けないといけないわけだが、かといって、例えば環境を完全無視していいわけがない。製品やサービスを利用する者(典型的に個人)に対し、「こんな選択肢があるんだ(長い髪も短い髪も、髪をばっさりなくすのもあるのだ)」と示すことが誠実であり、それなら人類と地球との妥協点をさぐるSDGs的に合格だろう。
今回は、洗剤を集中攻撃したが、他の事例も多い。企業には考えて欲しいものである。ひょっとして広告代理店がアホなのかもしれないが。

2019/04/25


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