川北英隆のブログ

洪水災害を予知するために

友人が憤っていた。今回の台風の洪水被害で爺さん婆さんが(つまり僕みたいな年齢のが)、テレビ局の質問に「これまで経験したことがない」と応えるシーンに対してである。憤りは、爺さん婆さんの応えにはなく、そんな数十年の体験で何が分かるのかという点にある。
50年に一度とか、100年に一度という表現は、「めったにない」ことを言いたいのだろうが、本当にそうなのかという疑いでもある。
世界的な異常気象というか、気候の大きな変化は、人類が記憶できる時間の流れを超越している。最近の100年、200年、気候的に平穏な時期だっただけで、今後は今回のような水害が毎年起こるのかもしれない。これが平常になりうる。
加えて、人類がまさに天に唾したのかもしれない。本来、河川が流れる土地に住んでしまったがため、その土地を利用したがため、河川がその土地を取り戻そうと試みたに過ぎないのかもしれない。
そんな抽象的な議論は止めにして、ここで確認したいのが「今、どこに住んでいるのか」のである。政府がある意味、無駄に予算を使っていない証拠に、国土地理院が立派な地図を提供してくれている。
まずは「国土地理院」を検索し、そのサイトに入ってみよう。
1つは、治水に関する地図である。「地図・空中写真・地理調査」、「主題図(地理調査)」、「治水地形分類図」と進み、「治水地形分類図の閲覧」の「更新版」を見るのがいい。最初に日本地図が表示され、紫に塗られた地域の成り立ちが分かるようになっている。後はその地図を拡大することで、自分の住んでいる地域が扇状地だったのか、埋立地なのか等が判明する。
色分けの意味、つまり凡例がどこにあるのかを確認するのは難しい(不親切だ)が、左上の「情報」をクリックすると、左側の一番下に「選択中の情報」の欄が表示される。そこの「解説」をクリックすると「凡例を表示」が出てくるので、それをさらにクリックすればいい。
もう1つは、同じ「地図・空中写真・地理調査」の中に「明治期の低湿地データ」がある。表示される地域は関東、名古屋周辺、京阪神に限られているが、明治時代にどういう地形だったのかが(沼だったのか、川だったのか等が)判明する。
その他、「ハザードマップポータル」というのもある。洪水、津波などの可能性を示してくれている。
それらによれば、話題になった武蔵小杉の明治時代の地形、長野の新幹線の車両基地の地形などが判明する。では、こういう情報がどこまで使われていたのか。マンションの開発業者が真剣に使っていたとは思えない。これに対して新幹線の場合、この情報を使っていなかったとすれば間抜けである。

2019/10/17


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