川北英隆のブログ

政府はオリンピック破壊者か

2/21に指摘しておいた厚労省の賭け、すなわち「コロナちゃん、クルーズ船が横浜に停泊した後には拡散していない」との自信度をアピールするために下船した乗客を自由に帰宅させた措置が、案の定、裏目に出た。国内の下船者からも感染者が出たのである。
しかも、下船した乗客のうち23人が検査漏れだったらしい。
さらに信じられないことがある。TBSニュースをコピペしておくと、「クルーズ船内で業務していた厚生労働省などの職員の多くが、ウイルスの検査を受けずに職場に復帰していたことが分かりました。厚労省内で検査が一度は検討されたものの、陽性者が多く出た場合の業務への影響などを考慮し、見送られたということです」とある。厚労省からクルーズ船に派遣された職員の感染事例があるのに、である。
何を優先すべきなのか。日常業務なのか、非常事態への対応なのかを理解していないのではないかと思ってしまう。
海外が日本を見る目は厳しい。太平洋のいくつかの島国(ミクロネシア連邦、キリバス、サモア、ツバル)が日本人の入国制限を発表している。この措置、狭い島国だから仕方ないと諦めたとしても、無視できないのが、アメリカ、台湾、タイである。自国民に対して日本へ渡航する場合の注意レベルを引き上げている。
日本からの海外旅行もうっかりとは行けない。インドネシアやブラジルでは、発熱やせきの症状などがみられた場合、入国拒否されたり隔離される場合があるという。海外旅行を計画している僕としては一大事に近い。
今年、日本として最重要なイベントはオリンピックだろう。それを前にして、厚労省を含め、政府としても慎重な行動が求められる。慎重さがミッション(使命)である。クルーズ船に対する厚労省を中心とした政府の行動は、そのミッションを理解していないのではなかろうか。
自国民に対し、日本への不要不急の渡航を止めるように要請する国が出てくればどうなるのか。観客は二の足を踏むだろう。さらに選手の派遣が見送られれば、オリンピックの開催が危ぶまれる。下手すれば海外で行われるかもしれず(ロンドンでとの提案もあるらしい)、競技に日本選手お断りの可能性だってある。
僕としてオリンピックはテレビで見る程度だから、そんなに大きな関心事項ではない。でも、それを楽しみにしている国民が多数であることは当然だと思っている(テレビで見ただけだが、1964年の東京オリンピックの光景は今でも覚えていることだし)。それを当てにしている企業も多いはずだ。
政府自身の不適切な行動により、そんな国民や企業の期待を裏切ることになればどうなるのか。そういえば厚労省、年金問題によって評判が地に落ちた組織である。よろしくない組織文化が依然として蔓延しているのではと疑いたくなる。

2020/02/23


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