川北英隆のブログ

コロナの客観的情報を求める

日本のトップの責任か、それを支える役人の責任か。それはともかく、国の言うことと行動とがちぐはぐすぎるようだ。国は接触を7割減らせと必死に訴えるが、その割には緊急事態宣言地域での休業要請の対象が少ない。要請の責任を取りたくないと思っているのかも。
そもそも風俗や、それに類する施設こそ不要不急だろう。
東京新聞のネットニュースによると、緊急事態宣言を受け、「都内の風俗店で働いていた女性は、休業しても生活補償がなければ、地方へ行かざるを得ないと訴えた」(一部語順を変更)、「政府は元々、経済への打撃を懸念し、全国一斉に繁華街への外出自粛を求めることに一貫して慎重姿勢だった」、「岐阜市のナイトクラブを訪れた金沢市の医師が感染し、患者らに広げた可能性が指摘されている」とか、身一つで動ける者のたくましい実態と、慎重過ぎて動けない政府と、プロなのにアホな輩と、日本の真の実力がこのニュースに表現されている。
さすが、批判的な目で世の中を見ていると評価される東京新聞の、卓越した記事である。「接待を伴う」とかではなく、「風俗」との表現を使ったのも、分かりやすさの点で卓越している。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202004/CK2020041202000138.html
我々が知りたいのはこの新聞のような情報である。感情に訴えるメッセージではないし、ましてやフィルターにかけ、着色した情報でもない。
客観的な情報を知りたい。その情報に基づいて国民が判断すればいい。判断の難しい情報なら、専門家が責任を持って(分からないことは今後の分析や結果を待たなければいけないと表明しつつ)評価を下してくれればいい。
例えば、厚労省のホームページに入ってみよう。コロナ関係のページがある。感染者数や検査実施人数が掲載されている。しかし、出てくるのは累計の数値である。一番知りたいのは、今現在どうなっているのかである。このためには、累計ではなく、1日当たりの新規感染者数、新規検査数の数値も必要である。国民に毎日、累計の数字を記録させ、引き算をさせるのかいな。
ついでにこの厚労省の検査実施人数の数値を見て一目瞭然なことがある。何かと言えば、検査数がきわめて少ないこと(4/11までの累計で6.3万件)、検査した件数当たりの陽性者率が東京や大阪で30%を超え、埼玉、千葉、神奈川では15%から23%と、きわめて高いことである。ちなみに全国平均では10.5%となっている(東京や大阪などが含まれるため平均が10%を超えているのであって、京都を含め、多くの道府県は10%未満)。要するに、大都市圏では容態が重くならないかぎり検査してもらえない。軽症者が野放しになっている。そんなアホな事態になっている。
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000621113.pdf
さらに言えば、男女別、年齢別、職業別などの統計、感染経路が判明した者の数、感染経路の特徴、治療薬として何を試し、どの程度の効果があるのかなど、知りたいことは山のようにある。厚労省は病院の上に君臨しているのだから、その程度のデータを集めるのは簡単なはずである。
知りたいだろうこと、知っていて有益なことを知らせる、それも客観的なデータで。これが国民に仕える国の最大の役割である。

2020/04/13


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