川北英隆のブログ

コロナだからガタロヘアで

ガタロとは何か。ガロではない(古いな、あんたの学生時代やないで)。辞書を引くと出てくる。「河太郎」、かっぱ(河童)のことだが、それでも微妙に違うと感じる。
学生の頃、休みなどで家にいると、母親から「頭、ガタロみたいや、散髪に行き」と何回か言われた覚えがある。散髪は好きでない。中学の時、同級生のNKT君が、「散髪屋で首の後ろを切られた、もう少しで神経に達するとこやった」と傷跡を見せてくれたので、ますます散髪が嫌いになった。
で、ガタロみたいな頭とは何なのか。母親の口調から、僕は河童のことだとは思わなかった。乞食の類の頭で、髪が伸び放題、自分で適当に切り、ボサボサの状態かなと思っていた。
今回のコロナ問題で理髪店(散髪屋)や美容院をどうするのかが問題となった。
僕はと言えば、1月の段階で「散髪、嫌やな」と思っていた。正確に書くと、この20年以上、散髪屋には行っていない。最後に通っていた散髪屋の爺さん、カミソリを持つ手が震えていたし、当時はエイズの問題があった。そこで、「カミソリを使わへんやろ」と考え、美容院でカットだけをしてもらうことにした。
京都で通っている美容院、コロナ騒ぎから窓を少し開けて対処しているとか。それでもカットしてもらうには「接客を伴う」。それで、足が少し遠のき、頭がガタロに一歩近づきつつある。「緊急事態やし、多少ガタロヘアでええやん」とも思っている。
ガタロの意味に戻ると、比較的大きな辞書によれば、河童の意味の他、「よなげ屋」つまり「川底をザルや金網ですくい、金属屑などを選り分ける職業」だとか。屑拾いの一種である。僕が小さい頃、まだ屑鉄や銅片などを家庭に買いに来る業者がいたし、「よなげ屋」なる者もごく稀だが見かけたように思う。河童のように川に入り、頭がボサボサだったのだろう。
ついでに書くと、「よなげ屋」の「よなげ」とは「よなげる」から来ているとのこと。漢字では淘汰の淘を当て、「淘げる」と書く。淘とは、(物を)水に入れて選り分けることである。昔、砂金や砂鉄を集めるための重要な作業だったのか。
「よなげる」との単語も、淘がサンズイ偏を使っている理由も、この歳になるまで知らなかった。

2020/04/13


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