川北英隆のブログ

十二坊を経て甲西駅へ

鏡山を下り、次に目指すは十二坊である。変わった名前の山で、昨年年末に見つけた。笹ヶ岳と岩尾山に登った帰り、電車の中で「めぼしい山はないか」ときょろきょろしていると、アンテナ群の立つ小高い丘があった。地形図に山名として十二坊とあった。
十二坊という名前の由来は、この山の麓に延暦寺の別院、善水寺があり(今もある)、その坊の数にあるらしい。また、甲賀の忍者を生んだともされる。元々の山の名は岩根山であり、南麓の村の名前である。その村が山を領域としていたらしい。
その十二坊、実は鏡山と尾根続きである。現在は鏡山と十二坊の峠に名神高速が通り、県立の公園やゴルフ場もあり、尾根続きの雰囲気が消滅している。
さて、公園からは名神高速を越し、十二坊への車道(アンテナ群をメインテナンスするための車道)に入らないといけない。そこで選んだのが、公園内の「青年の城」の真南から高速をくぐっていそうな地形図上の実線路である。
園内の道路からその実線路への入口は荒れた感じだったが、道自身は明瞭である。本当に高速を横切れるのかどうか不安だったものの、高速の下をくぐる薄暗い通路を見て安心した。とはいえ、大雨の時には通路に水が流れるのだろう、土砂やゴミが積もっていた。
高速をくぐって県道に出る。この県道、車の通行量が多く、大型のトラックも通る。歩道もない県道の八重谷越と呼ばれる峠道を500メートルほど西に歩くのは、もう一度と言われれば拒否したい。側溝にキツネが一匹はねられていた。南無阿弥狐仏である。
峠を越えると、左手に十二坊への車道が見えてくる。車道は十二坊の頂上手前まで続く。入口にはチェーンが張られ、許可車以外は通行できない。この道路は途中から整備が悪くなり、倒木や落石があるものの、歩く分には何の支障もない。
途中、車道の横に三角点があるので寄ってみた。点名は「十二峰」、4等、315メートルである。道路からすぐなので簡単だと思い、西側から登ったのだが、実際は悪戦苦闘だった。踏み跡らしきものはあるのだが、最近は誰も入っていないようで、ヤブで覆われていた。しかもサルトリイバラがあり、避けたつもりが(サルやないのに)絡まれ、登山スボンがかぎ裂きになった。何とか到達したが。
山頂の手前からハイキングコースが入り交じる。その先で甲西からの車道を合わせ、すぐに山頂に着く。山頂部は2つに分かれ、西側にアンテナ施設(NHKの車がいた)、東側に三角点がある。
三角点のある山頂は樹木がなく、風化した花崗岩の砂地だった。琵琶湖と甲賀方面の展望が良い。
下りは南東尾根を選んだ。地形図上には道が描かれていないものの、実際は一番整備されているようだ。というのも、中腹の十二坊温泉に一番近いから。とはいえ、脇道もあるので、時々地図で位置を確認しつつ下った。
十二坊温泉からは、その敷地の西側を通り、南南西に流れる沢沿いの車道を下る。温泉から車道への入口はチェーンが張られている。
途中、磨崖不動明王を対岸から見た。大きい像で、江戸時代の作とか。像からは岩根の西の外れの村はすぐである。後は車道を歩き、甲西橋を渡って甲西駅に向かった。
公園に出てから十二坊への車道入口までは25分、車道入口から十二坊まで80分、十二坊から麓の村まで50分だった。
写真、上は小堤城山から見た十二坊(中央の丸い峰)、下は十二坊の山頂である。
20210131小堤城山からの十二坊.jpg

20210201十二坊山頂.jpg

2021/02/01


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