川北英隆のブログ

リアルな医療は有効か

日本の医療、コロナが火付け役となり、オンラインに向けた最初の一歩を踏み出した。しかし歩みは鈍い。カメさんにも負けるかな。そもそも日本はウサギだったはずだが、昼寝どころか、まだ朝寝からも目覚めておらず、寝ボケている。
その大きな理由は医師会が反対姿勢を貫いているからであり、厚労省や政治家がそれを暗に支えているからである。算術主義なのだろう。
表向きの理由は、「診察はリアルでないと」とのことである。オンラインだと正確にはわからないし、聴診器を当てることができないとのこと。それはそうだが、ではリアルに医師と向き合い、診察してもらったとして、どこまで正しく診てくれるのか。
僕の数少ない経験では、医者の診断ってこんな頼りないのだと思ったことが何度もある。
サラリーマンの頃、社内の診療所で時々診てもらった。その時には、たとえば「風邪みたいなんで」と病名をこちらから言うようにしていた。そうすると産業医が聴診器を当てもせず、少し喉を診て、「そうやね」と薬をくれた。
しかもその薬の効かないこと。そもそも風邪に効く薬は少ないのだが、京都に来てからの町医者の出してくれる薬はそれなりに効く。産業医が片手間でいい加減なのだろう。
その産業医に五十肩を診てもらったことがある。レントゲンを撮ってもらったところ、腕に大きな影があるとかで撮り直した。機械の操作ミスである。
機械といえば、何でもかんでも機械を使って診断しようという医者が多い。高額な医療機器の稼働率を上げるためである。「ええっ、こんな程度で被爆してどうする」と思うのだが、その場で医者に逆らうことはできない。その結果、素晴らしい答えが出るのかといえば、普通の答えしか出てこない。
この点は家内の結論と一致しているのだが、ヤブっぽい医者、新米の医者ほど機械に頼っている。その家内、誤って手術をされそうになった経験があるし、歯医者では正常な歯を削られそうになった。
僕の場合、30代後半、盲腸になった。朝出勤したのだが、「こりゃ盲腸や、あかん」と、(当然、社内の産業医をパスし)会社の近くの比較的大きな病院に駆け込んだ。盲腸だった。手術をと言われたが、家の近くが何かと便利。その病院での手術を断り、当時の家からタクシーで10分程度にあった日赤に行った。午後一番の救急外来だった。
レントゲンを撮り、その写真を見ながら医者が「何もないけど」と言う。朝の病院のレントゲンの結果と違う(これも、レントゲン写真をそのまま使ってくれればいいのだが、そういうシステムになっていないので、二重に被爆する)。「ええっ」とその写真を見ると、写真に付いていた名前が違う。それを指摘したところ、医者が「ああっ」と写真を入れ替え、「盲腸やね、でも散らせる」という。
そこまで言われると、「是非手術を」という勇気はない。その時は散らしたのだが、数年後にどうしようもなくなり、同じ日赤で手術した。その時の執刀医が「盲腸は散らせきれないし、散らしてたので手術が難しくなった」と。
ついでにもう1つ、注射は医者にしてもらうものではない。場数を踏んでいないので下手なことが多い。看護師のほうが明らかに上手である。
もちらんリアルの診察でないといけない場合も多い。しかし、多くの病気はAIを使ったパターン認識でいいのではないか。定期的な経過観察も多くは同じで、端末越しの問診で十分ではないか。不十分と思えば、「実際に来るように」と医者が指示すればいい。
AIに間違いがあるとの反論もあるが、医者の診断が完全でもないのは当然であり、医者に診てもらった回数の少ない僕でさえ、上で書いたようにいろんな間違いをされている。
繰り返しておく。医師会や厚労省がオンライン診療に消極的なのは、いろいろと理由を並べてはいるものの、本音は国民ではなく、自分たちの利益にならないからだろう。オンラインとリアルを組み合わせれば、日本の医療の質と利便性が飛躍的に高まるはずだ。

2021/06/08


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