川北英隆のブログ

オリンピックと尾身の乱

「あの自己主張の少ない尾身氏が」と思ったのが、国会でのオリンピック開催批判である。政府は尾身氏をコロナ対策での専門家の顔としてきたのだが、国会発言については「自主的(個人的)研究発表」だと一蹴した。民主的な国で権力者が常套とする慇懃無礼である。
尾身氏、政府のこれまでの会合でいろいろ発言し、取り纏めたものの、政府関係者にいいとこ取りされてきたのだろう。よくあることだ。極端にいえば、コロナ対策に関する政府の基本方針は事前に決まっていて、それを前提に儀式的に専門家の意見を聴くというか、言わせるに過ぎなかったのか。それに尾身氏もようやく気づき、反乱を起こしたのかもしれない。
それはともかく、政府の対応は酷すぎる。「自主的研究発表」は政府のオリンピック関係者としての本音というか、姑的な意地悪発言である。
僕にとって、関西地区に住んでいることもあり、また最近は商業主義が前面に出ていてることから、オリンピックなんてどうでもいい。「おもてなし」がオリンピックの本質なら、今回はコロナ感染予防を理由に中止にするのが本来だと思う。個々の競技は、それぞれの世界大会の開催で満足できる。世界大会もオリンピックもというのは、アスリートを見世物として酷使することでもある。
オリンピックを強行したとしても、感染が拡大せず、成功裏に終わることもあるだろう。しかし日本でのワクチン接種が、65歳未満(つまり働き盛り)に十分行き渡るのはオリンピック開催日を過ぎるだろうから、リスク(コロナを大喜びさせる可能性)が大きいのも確実である。そんな状況にあって、リスクを取るというのは(つまり一か八かに賭けるのは)、国民や世界のことを考えるまっとうな政治家の決断ではない。第二次世界大戦に突入した時の日本政府の博打、神頼みに酷似している。科学的ではない。
オリンピックを開催するとしても、前にも書いたように海外からの来日者の行動を十分把握でき、制限できるのか。これまでの政府のコロナアプリ対応からするに、専門家と実務精通者に欠けているから、99%無理だろう。とすれば、リスクはますます大きい。
「いやはや」である。繰り返しになるが、僕としてはオリンピックの期間中、関西に自主的に籠もることにする。海外から持ち込まれた新たな変異ウイルス、それもワクチン効果の薄いのが国内に蔓延すると困るのだが、そのときは皆さんと一蓮托生しましょう。

2021/06/09


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