川北英隆のブログ

経済混乱時の長期投資とは

1月、株式市場は大荒れだと報じられている。「超大変だ」というので手仕舞いの売りが主流となった。「でもね」であり、「でもね」と思うのが長期投資家である。この点で短期投資家とは完全に袂を分かつ。
確かに株価は行き過ぎだった。成長が見込めるからと、猫も杓子もと言うと猫や杓子に悪いから、有象無象の企業でさえ囃され、その結果として株価が上げてきたと書いておこう。とすれば、いつか株価は下げて当然である。
さらに言えば、この「株価は下げて当然」との見方が極めて重要である。「株価は下げて当然」との見方と同じことなのだが、現状に基づいて説明的に書き加えれば、「金融の超緩和が元に戻って当然」「金利は上がって当然」となる。むしろ金融の超緩和が終わり、金利が元の水準向かって上がることが健全な経済である。この意味で、「金融緩和を終わらせるのは大問題だ」と唱えるのは、株式や債券の価格を下げさせたくないための、それによる損失を回避したいがためのポジショントークでしかない。
もちろん、「今が金融の超緩和を元に戻す時期か」と問われなければならないものの、誰もその当否を正確に判断できない。中立的な(比較的中立的な)中央銀行、代表的にはアメリカの中央銀行組織の判断に委ねるしかない。
では株価はどうなるのか。短期投資家にとっては、とりあえずはさらなる波乱というか下落を予想し、それに備えてポジション(株式保有残高)を減らすか、ごく短期の売買に徹するのが正解だろう。僕はそんな投資をほとんどしたことがないため、正しい方法を十分に理解していないが。
長期の投資家は逆である。株価が上がり続けることこそ投資の邪魔である。市場の混乱と下落は「ラッキー」であり「大いなるチャンス」である。1つだけ前提条件が付く。それは「経済と企業の長期的な成長、発展を信じる」ことである。
つまり、「いつかは経済の発展が蘇り、企業業績が回復する」と信じることである。本当に経済と企業の長期的な成長があるのかどうかは誰にもわからない。極論を例に挙げれば、明日にでも核戦争が勃発し、世界が廃墟になるかもしれないからである。「信じる」とは、「さすがに誰もそこまでやらないだろう」と判断することでもある。
核戦争的なこと(それに近い状態を含む)が生じれば、財産の有無、証券投資の有無にかかわらず、悲惨な生活が待ち受けている。言い換えれば、株式に投資するかしないかにかかわらず、良いことは望めない。逆に核戦争的なことが生じなければ、いずれ世界経済は良い方向に向かう。
このように考えるのなら、長期的な観点から「世界経済に対する悲観論が強くなって株価が下落した時点で、喜んで株式に投資する」のが正解である。いかがだろうか。いずれにしても長期投資家のスタンスとは、僕が典型的なように、楽観的なのだが。

2022/02/02


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