川北英隆のブログ

円ドルレートはどうなるか

ドルに対する円安が続くのか。またドル以外の通貨が台頭して強くなることはあるのか。
最初の質問に対する結論は、明日のレートはわからないものの、長期的にはドルが強いだろう、つまり円安傾向が続く。少なくとも僕が健康で生きている間は。
後の質問に対して、ドルも決して強くないのだが、消去法的にドルが生き残る。ユーロも元もドルに取って代われないだろう。でも、主要な通貨を分散して保有しておく意味はある。
円はとにかく弱い。経済力の差というか、勢いの差である。かつての日本経済には世界を牽引する力があった。家電、半導体が代表的だった。鉄鋼にも力があった。
それに対して現時点で力があるのは自動車くらいか。その自動車も電気自動車で出遅れている。中国やヨーロッパが国・地域として、ガソリンエンジン車での競争を回避するため、電気自動車を強引に導入した。この政策に日本は戦略的に負けてしまった。今後はトヨタがどれだけ頑張れるかにかかっている。
一方のアメリカは民間の活力が高く、次々に競争力のある製品やサービスを生み出している。テスラが電気自動車でデジタルをうまく使いこなし、伸びているのが象徴だろう。アメリカ全体として、一時ほどの力はないかもしれない。そうはいってもアメリカに迫れる国は中国程度だろう。ヨーロッパは、日本ほどでないにしても、デジタルの産業への活用で遅れている。しかもロシアという難問も抱えた。
では中国はどうか。問題は2つある。1つは政治、もう1つは人口減少である。今までは政治的に経済成長を高め、それを人口増が支えてきた。しかし人口が減少に向かえば、政治的に成長率を高める政策はバブルを生みかねない。少数民族を経済成長の支えにすることができればいいのだろうが、どうだろうか。それに経済成長率が低下すれば、政府に対する不満が高まる。これらの調和が難問だろう。
以上のように主要国の経済力を考えると、少なくとも消去法的にアメリカが残る。アメリカ経済が相対的に強ければ、通貨のドルも基軸通貨としての地位を保つことができ、相対的に強いだろう。
以前にも書いたように、ユーロとその周辺国(北欧、イギリス、スイス)の通貨に対し、金融資産の少しの割合を、国債や株式などの形態で投資するのも賢明だろう。ドルが万が一の場合に備えるためであるし、アメリカ経済が強ければ、その恩恵をヨーロッパが享受する。
同時に、カナダ、オーストラリアとその隣国のニュージーランドに投資しておくことも賢明である。とくに資源問題が生じた時、役立つだろう。
中国の元はどうか。10年ほど前だったと思うが、人民元預金をしたことがある。海外銀行の日本支店が人民元預金を受け入れていたからである。当時、中国経済は日の出の勢いだったし、政治的にも大人しかった。だから「円に対して元高になる」と予想した。
予想は当たっていたのだが、思わぬ伏兵がいた。預金していた海外銀行の日本支店が日本から撤退した。代わりの銀行を紹介してもらったものの、それもすぐに撤退し、結局は円に戻さないといけなくなった。要するに日本経済が弱くなり、海外の銀行が撤退し、国民として簡単に元預金ができなくなったのである。経済は強くあってほしいものだ。
それはともかく、今はというと、元預金をしたくない。理由は簡単、中国経済に対して強気になれないからである。
以上、雑談だった。毎回そうか。

2022/08/18


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