川北英隆のブログ

お盆過ぎの夏

今日(8/18)は爽やかというか、これまでと比べるからだろうが、過ごしやすい一日だった。とはいえいつの間にか日没が早くなっている。見ていると、東の雲がもう光を失いつつある。
子供の頃、お盆過ぎの夏が嫌いだった。楽しい行事がほぼ終わり、夏休みも残り少ない。ぼやっと屋根の上に寝そべり・・、そう実家には物干しがあり、そこから工場の屋根に移れたのだが、そこから勢いを失いつつある夕方近くの入道雲を見るのが好きだった。
瞬間の楽しみと、長く鬱々とした道のりと、それが引き波を生じさせるような。
その頃の夏は、お盆の頃を過ぎると太陽の白い光が目立つようになった。白露にはまだ早いものの、白が似合うようになる。一年のうちのもっとも賑やかな季節の登場人物が袖に隠れ、やがて舞台が白くなるという感じだった。
あの登場人物はどこに行ったのかと思う一方で、キャンバスに、そして舞台に塗られて色が消えたのなら、その画面を自由に使えるようになるとは、当時は思い浮かばなかった。
それに比べて今はどうか。お盆過ぎの今年の今日の日中の温度は、子供の頃の真夏の夕方そのものである。ようやく暑い日差しが弱まり、快適な時間が始まると思える。今年の夏がピークアウトしようとしているのだろう。
エアコンなんてなかった当時が今のような夏だったらどうなっていただろうか。多分、狂い死にしそうになったに違いない。幸いなことに、当時の夏は寝やすかった。だから夏の夜が楽しかった。今と大違いである。
と、外はすっかり暮れた。鈍色の雲が西空に残っている。南国のホテルで見た夕空みたいだなと思いつつ、久しぶりに訪れた本当の日本の夏を楽しむことにしよう。8/18記。

2022/08/20


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