川北英隆のブログ

差別化が必要となる賃上げ

今日の日経新聞の一面トップは、ファーストリテイリング(ユニクロ)が3月から国内で平均15%の賃上げをするとの記事だった。内外一律の給与水準にするため、国内での賃金が上がる。最大では4割上がるとも書かれていた。
就職活動の状況を間接的に聞いていると、国内の大企業が魅力的だと感じる学生が減っている。よく言われているように、優秀な(優秀というよりも気の利いた積極的な)学生は外資系、コンサル系、そして起業を第一希望とする。
大企業とすれば、「当初は給与が高くないかもしれないが、年齢とともに給与が上がるし、年金や退職金も整ってるで」というところだろうか。
しかし、課長や部長になっても、もはや日本の大企業の平均的な給与は海外よりも低くなってしまった。年金や退職金と言われても、日本企業がそんな先まで隆々としている可能性はどれだけあるのだろあうか。「年金や退職金ではなく、それを今、給与として支払ってや」というのが社員の本音だろう。
日本のような人口減少の中での企業活動をイメージすると、優秀な人材は奪い合いになるに決まっている。もちろん海外人材を活用する方法もあるだろうが、言葉や風習の点で優秀な日本人に勝るものはない。そうであるのなら、少々高い給与を支払ってでも、その優秀な日本人を雇用するにかぎる。
ユニクロがその決断をしたということだろう。少し前のニュースでは東京エレクトロンも高い給与を払って半導体の技術者を囲おうとしているとか。そう、成長しようとする企業にとって当然の戦略である。
それなのに、政府に「賃上げをせよ」と言われ、経済団体にも「賃上げしよう」と言われ、仕方ないので横をにらみつつ「どうしようか」と迷う企業に明日はない。そもそも将来の利益見通しがぱっとせず、賃上げが大きな負担になると考える企業も多いのだろう。
前にも書いたように係長社長の18番は人件費削減だから仕方ないのかも。
そんなこんなを考えると、ユニクロが光り輝いて見える。

2023/01/11


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