川北英隆のブログ

茨木屋の自己破産

茨木屋って何やというと、京都の老舗蒲鉾屋である。ニュースによると、それが事業を停止したとか。事実上の倒産である。蒲鉾などの練り物に逆風が吹き続ける。
茨木屋の創業は明治2年とある。わが家が京都に移った時には、茨木屋は柳馬場押小路にあった。その店の前を通った記憶はないのだが、大学への通勤途中、その格式ある日本建物をちらっと見たものだ。当時の茨木屋本店の版画がネットにある。
2012年に寺町に店が移った。同時に本店がなくなったのは知っていた。事業拡張を図るため、賑やかな寺町に出てきたのかなと単純に思っていたのだが、ニュースでは資金繰りのために本店の不動産を売却したとある。
家内に言わせると、かつて大丸にも店舗があり、そこで練り物を買っていたのだが、いつしか撤退したため、茨木屋では買わなくなったとか。この10年以上は事業縮小の歴史だったようだ。その過程に入ってしまうと悪循環になるのだろう。
茨木屋にかぎらず、蒲鉾などの練り物は厳しいだろうなと思う。材料である魚が高くなっている。
昨年の暮れ、郡山唯一の蒲鉾屋である「山根」に行き、正月限定の製造となった蒲鉾を買った。すると店のオバちゃんに「高くなってすみません」と謝られた。近所の人が買いに来て、「高いね」と言うのだろう。
鮮魚が簡単に手に入らない時代、練り物は重宝な食べ物だった。今や時代が変わり、練り物を食べなくても困らない。冬のおでんに欠かせない程度か。とくに蒲鉾なんてどうでもいい、むしろ化石的な食べ物になっている。富山の昆布で巻いた蒲鉾は美味いが。
茨木屋のブランドと技術を誰かが引き継ぐのだろうか。茨木という名が今一つだから、「京茨木」とかに改名するのかな。

2023/01/25


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