川北英隆のブログ

リヤド市内の印象

日本からサウジアラビアへの直行便はない。今回はドバイで乗り継いだ後、サウジアラビアの首都リヤドに向かった。大きな半島だから、近いようで約2時間かかる。
リヤドは内陸に位置し、標高600mにある。かつて一地方にすぎなかったリヤドのオアシスに発したサウド王が、今のサウジアラビア全体を支配した。
サウジアラビアの人口は3500万人程度、そのうち800万人程度がリヤドに住んでいるらしい。もっとも人口の定義が疑問である。海外からの出稼ぎ労働者をどう扱っているのか。日本では(多分国際的にも)、3ヶ月以上住んでいると人口にカウントされるらしいが。
現在のリヤドは起源だったオアシスの東側へと大規模に広がっている。オアシスの水なしに生活をどうするのかといえば、大きな水製造企業が存在している。リヤドの中心部にその会社があり、大きなビルまであった。真水は、海水の淡水化や地下から水を汲み上げる方法で得ているようだ。
サウジアラビアのみならず、雨量の少ない中東全体として水問題は大きい。これに拍車をかけているのが人口の増加である。増加率のピークは超えたようだが、それでも少子化問題をかかえた日本などと比較すれば子供の数が非常に多い。石油資源が金の卵でなくなった未来に備えなければ、食料不足、水不足に陥り、生きていけないだろう。そうそう最高気温が常時40度を超える夏になれは、乾燥しているとはいえ、事態はより深刻である。
サウジアラビアは経済基盤を石油以外に広げようとしている。ポスト石油時代にも生き残る壮大な計画であり、「ビジョン2030」として掲げられている。
その計画の象徴がリヤドである。地下鉄網を整備し、都市間の鉄道を敷き、現在の片側3車線以上ある幹線道路をさらに充実させて交通網を強化するのが最初のステップとなる。
その上に何を乗っけるのか。リヤドでは金融センター構想の下、大きなビルが何棟も建っていた。石油によって得たサウジアラビアの資金量は海外にとって魅力的である。アリババの看板も目に入った。
メッカをはじめとしたイスラムの聖地を抱えたサウジアラビアは観光業にも期待している。我々のような観光ビザでの入国許可も観光業への注力の一貫である。リヤドはもちろん、各地で新しいホテルの建設が盛んだった。
とはいえ、それ以外に何があるのか。いかなる経済的な付加価値をサウジアラビは生み出せるのか。女性を含めた教育の充実がありうるのか。外国人材の引き抜きだけで産業が成り立つのか。これまで交易と放牧とナツメヤシ栽培と、そして原油掘削だけで生きてきた民族にとって、文化の転換が必要となっているようだ。
写真、上はリヤドのキング・アブドゥラ・フィナンシャル・ディストリクト(金融センター)の中心部(広場)である。東京都の構想が絵の段階だとすれば、リヤドは現実的な収益化の段階にある。下は栓抜状のビル、キングダムセンター(302m)から見たリヤドの市街地である。
20230221リヤド国際金融センター.jpg

20230221リアド市街の展望.jpg

2023/02/21


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