川北英隆のブログ

台風避難に実効性を

東京に住んでいる知人が時々怒っている。何に対してかと言えば、東京の荒川下流部一帯に出される洪水警報と避難勧告・指示である。「どうすりゃいいのさ、この私」状態になると。
この友人の怒りを思い出したのは、今回の台風7号の接近、上陸に対して、そこら中に避難勧告や指示が出されたからである。今回の台風ではないが、実家のある市でも、住んでいる京都の区でも出たことがある。実際に避難するとすれば、どうすればいいのか。教えてもらっていない。
知人の怒りは、荒川が下流部で氾濫した時、逃げるとして、「ではどこに逃げるのかわからない」、もっと端的に言えば「逃げ場がない」ことから生じる。さらには警告、勧告、指示とか、聞いている方には「何のこっちゃら」である。用語の違いがわからない。口先だけの言葉遊びではないのか。
荒川の下流部は荒川区、江東区、葛飾区、江戸川区などから成り立つ。人口を考えれば、逃げ場があるのか。行政が日頃から高いビルの所有者や住人に対して、逃げ場を提供するように指導しているのか。
放送局はもちろんのこと、気象庁、行政などが一体となって日頃から対応しなければならない問題である。某国営放送がそこまで考え、「命を守る行動を」と叫んでいるのだろうか。
同様のことは台風7号の被害に遭った地域に関しても言える。老齢化した世帯がどこに逃げるのか。逃げる途中で山崩れに遭う可能性も多分にある。
かつて山を歩いていたところ、山奥にぽつんと残った人家のため、道路が整備され、その法面がコンクリートで固められていた。まだ日本に国力があったバブルの時代である。その工事代金のことを考えると、その一軒家に資金を出し、転居してもらう方が互いにハッピーではないのか。そう同行者と意見が一致した。
地方の市、町、村は過疎に直面している。残された住民に様々な対策を講じるのもいいのだろうが、もっといいのは、市、町、村の中心部に移ってきてもらい、安全で快適な住環境を提供し、奥地に残してきた田畑や山林の管理を共同で行うことである。
そのための資金は、過疎になった集落の安全対策のために使われていた土木工事予算を転用すればいい。市、町、村の中心部に活気を取り戻すことができれば、地方の創再生にもつながるから、そのための予算も回せる。
某国営放送を含め、行政がやるべきことは、自分の担当範囲での責任を回避するための言葉遊びではない。関係者と連携し、少しずつでもいいから実のある対策を講じることに尽きる。

2023/08/17


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